「ローおかえりーー」 「あァ、」 「もー、遅かったから心配してたの」 「悪かったな」 「お菓子、買って来てくれた?」 「お前、オレじゃなくて食い物の心配してただろ」 「そんなまさかー」 「ホラよ」 「やったー!」 私はローが手に持っていた大きな紙袋を受け取る。中には気になっていたものからお気に入りのものまで大量のお菓子が入っており、ソファに座って中身を吟味する。そんな私の横にローが腰を下ろす。 「お前も来たらよかったじゃねェか」 「だってこの前寄った町でお金ほとんど使っちゃったからついて行ったところで何も買えないし」 「でもオレにそれ(お菓子)を買わせてたら同じことだろ」 「…ローするどい………!」 「一人で菓子ばっか買うオレの身にもなれ」 「………ぷふー!」 「………」 「やだ無言で睨まないで怖いから」 「…今度は一緒に出掛けるぞ」 「おっけー」 「欲しいモンがあったら買ってやる」 「え、まじで!」 「ああ」 それを聞いて今度寄港した町で世界的に有名なパティシエが作ったケーキを買ってもらうことを心に誓う。あれ高くてなかなか手が出せないんだよね。お菓子の入った袋を漁り続けていたら、視界にタトゥーの入った手が入り込み、ぐいっと、肩を掴まれる。おかげで膝の上に合った袋は床に投げ出されてしまったではないか。 「ナナシ、キスしろ」 「なんで」 「お前、人に頼みごとしておいてまだそんなことを言うつもりか」 「お菓子買って来てくれてありがとう?」 「今さらそんなのは求めてねェよ」 「もー」 私は抵抗することを早々に諦め、彼の唇に軽く口づけを落とす。もう一回、と言われ、再び同じ調子でしようと思い顔を近づければその瞬間に後頭部に手を回され、噛みつくようなキスをされた。がっちり掴まれていて離れたくても離れられない。 「んっ、ふっ」 キスなんて今まで何度もしていることだ。今更恥ずかしさも何もない。だけど与えられる快感に慣れることはない。舌を吸われれば全身が粟立つのが分かった。私はこの快感をもっと味わいたくて、身体を少し動かしソファに座るローの上に跨る格好になった。これで完全にスイッチが入ったのか、それまで私の後頭部にあった手が私の背中やら腰やらを直に撫で始める。思う存分お互いの口内を堪能し、ようやく唇を離す。 「ナナシ、ここでヤってもいいか?」 「うん、でも後でね」 「後?」 「お菓子食べたいんだー」 「…それは今言うことなのか」 「だってお腹減ってきたもん」 「雰囲気も何もあったもんじゃねェな」 「ローも食べる?」 「オレは甘いものは苦手だ」 「なんだ残念」 「いいからさっさと食えるだけ食え」 「ロー、結構むらむらしてる?」 「今のでそうならない方がおかしいだろうが」 「そうだよね、私も少しむらむらしてるし」 「ならこんなもん食ってんじゃねェ」 「やだやだ押し倒すな、ッん…!」 |