「おいナナシ、」 「………………」 さっきからずっとこの調子だ。ナナシは服を着たままベッドの上で背を向けて横になっている。何度呼びかけても返事どころか身動きすらしない。 「何度も呼んでるのにだんまりはねェだろう」 「……………」 それでも反応のないナナシに痺れを切らしたオレは、最終手段である悪魔の実の能力でナナシを無理やりベッドから起こし、自分の前に立たせる。ナナシの表情は想像していた通りというべきか、いつものような明るさはなかった。 「…………」 「おーおー、えらいむくれ顔だな」 「…そんなことないし」 ふん、とそっぽを向きながら短く答えるナナシ。とりあえず口は開いてくれたか。オレは横を向いたままの顔に手をやり、正面を向かせてその頬を撫でる。 「フフフ、一体どうしたんだ?言わなきゃわからねェよ」 「…自分の胸に手を当てて考えたら」 「……こうか?」 「っ、誰が私の胸に手を置けって言ったか」 両手で胸に触った途端頭をはたかれた。地味に痛ェ。しかし、考えろと言われても自分に思い当たる節は一切ない。一体何のことなのか。ナナシに黙って下着を勝手に盗んでいることだろうか。 「いや、それはねェな…」 「なに、思い当たることあったら言ってみてよ」 「ナナシの下着盗んだ」 「どうりで最近少ないと思ったらアンタの仕業だったのか…!」 「フフッ、また新しいの買ってやるから気にすんじゃねェよ」 「そーいう問題じゃない!」 また頭をはたかれる。ナナシはいい女だけれども、少し暴力的なところが見受けられる。まァそれも知ったうえで付き合っているから別に構わないのだが。目の前で大きなため息が吐かれる。 「ていうかそうじゃないから…」 「あン?じゃーなんだってんだよ」 「ドフラミンゴ、昨日の夜に自分が何をしたか思い出せ」 「お前とヤった」 「それで?」 「それで、って気持ちよかったぜ?」 「私はぜんぜん気持ちよくなかったんだけど」 「まじかよ」 「こんなことで嘘つかないから」 昨日の夜もいつもと変わらないセックスだったはずだ。ナナシだって普通にヨがってたじゃねェか。 「…私はアナタの絶倫ぶりに付き合いきれマセン」 「フッフッフ!まだ若いと言ってもらいてェな」 「ゴムも変えずに抜かずの3発ってどーいうことよ一体」 「そりゃあ抜かなかったらゴムも変えられねェだろ」 「だから一回で終わらせろって言ってんの!おかげで私は毎回身体のあちこちが痛いんだからね!」 「もうその痛みにも慣れただろ」 「慣れたくない絶対に慣れたくないよ」 「じゃーどうしてほしいんだ?」 「今度からセックスは一回で終わろう」 「そうなったらオレァ自分の能力でお前に一人でヤらせるぞ」 クイ、と指を動かせばナナシの手が彼女の胸へと移動し、ナナシは青ざめた。 「い、やだやだやだやめろ!」 「なら一回ってのはナシだな」 「っ、じゃあ二回!」 「ダメだ。オレが満足するまで、だ」 「っ!ドフラミンゴのバカヤロー!」 「フッフッフ!オレを従わせるなんて100年早ェよ」 |