ローの部屋で一夜を過ごす時以外、私は当然自分の部屋で寝るわけだけど、これが相当つらい。普通に起きられない。何で自分はこんなに朝に弱いのだろうか。 「うう…」 今日も以前街に行ったときにあえてチョイスした騒々しい目ざましで何とか目を覚ますことが出来た。でも身体は寝返りを打つだけでベッドから出ようとしない。外ではもうみんな起きているのだろう、話し声がする。まだ寝てたいなあ、と心から思う私はブランケットを頭まで被った。が、その時、誰かが部屋のドアがノックをした。 「もう…だれ……」 「ナナシー!朝だよー!」 「…ベポか……」 ほんと朝から元気な白くまくんだな。無視しようと思ったけどずっとノックをされるもんだから寝るに寝られない。私は仕方なく重い身体を動かしてドアを開く。 「おはよーナナシ」 「おはよ…」 「ナナシ、声がおっさんみたいだよ」 「うるさいな…」 「あのね、もう朝ごはんの準備が出来たから船長起こしてきてくれる??」 「えー…」 「これはいっつもナナシがやってることでしょ」 だからお願いね!と元気よく叫びながらベポは甲板の方へ行ってしまった。私もローも朝が極端に弱い。一緒に寝てると昼近くまで起きないことがあるため、クルーを困らせることもしばしば。私は身体を引きずるようにして彼の部屋へと向かった。時折風に乗って流れてくる朝食のいい匂いが私のどん底のテンションをわずかに上昇させる。ローの部屋の前に到着し、ドアをノックするが、当然ながら返事はない。私は静かにドアノブをひねった。 「ロー?」 名前を呼んでみるが起きる気配はない。彼の寝ているベッドに近付こうと右足を前に出すと、何かをぐしゃりと踏んだ。暗くてよく視えないが恐らく本だろう。破れてたら絶対に怒られるなあ…とぼんやり考える。肝心のローはベッドで静かに寝息を立てていた。暗くて顔がはっきりと見えないのが惜しい。私は寝ている彼の身体を揺する。 「ロー、起きて、朝だよ」 「………」 少し身を捩っただけで起きない。さっきより強めに揺すってもだめだった。私の中で次第に苛立ちが生まれてくる。起こす側っていつもこんな気持ちなんだな。こうなったらもう強行手段だ。私はベッドから少し離れ、一気に勢いをつけて彼の身体の上へダイブしてやった。すると、下から小さなうめき声が聞こえた。よし、さすがに起きたか。 「………テメェ…」 「ローおはようー」 「重いからどけ」 「はいはい」 ベッドから離れ、部屋のブラインドを開けると、日の光が室内に差し込みローが目を細める。初めからこうすればよかったんじゃないかと気づいたが、まあローも起きたし、いいか。 「あれ、なんで上着てないの」 「いつもこうだ」 「そうだっけ?」 「ああ」 朝食の準備ができている旨を伝えると、ローはそこら辺にあった服を着て、大きな伸びをする。髪には少し寝癖がついていて可愛い。私がそれを手で押さえて直してあげていると、突然手首を掴まれてキスをされた。 「行くぞ」 「え、あ、うん」 「ナナシ、」 「なに?」 「オレの服を着てんじゃねェよ」 「あは、私の部屋にあったからつい、」 「誘ってんのか」 「そんなまさか」 |