貴方を愛してる
嘘じゃないんです。
伝え方がわからないだけで
この気持ちに変わりはないんですから
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「最低ッ!!」
バチン、と軽い打撃音
またか、と俺は思う
告白されて、
「俺も好きや」って俺に言われるのを期待してる阿呆な女共
なんで俺がオマエ等に好きって言わなあかんねん。
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入学当初から仲が良かった女子に告白された
「入学した時から侑士のこと好きだったんだ…ウチと付き合ってくれないかな?」
この手の告白は何回もあった。俺はその度にこう思う
(自分の気持ち押し付けて何が楽しいっちゅーねん)
「自分のこと恋愛対象として見れん、堪忍な。仲良しごっこの続きしようや」
そして話は冒頭へ戻る。
女は泣きながら何処かに走ってってしもた
(平手打ちはないやろ…)
残ったのはヒリヒリとする左頬
(自己中なやっちゃなぁ。胸くそ悪いわ)
そう思ってその場を後にした。
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「げっ……侑士だっせ!思っくそ頬赤くなってんじゃん!!」
「女遊びも上手くやれよなー…、激ダサだぜ」
「阿呆、そんなんやないわ」
宍戸と岳人に言われる程
そんなに跡が残ってたんか…日吉に見られる前に消しとこ。
「ほな、練習行くで岳人」
ラケットを手に取り部室を出る、ついでに部室前の水道でタオルを濡らして頬にあてた
こんな痛さ、
さっさと消えてまえ。
***
部活も終わり、部室に向かおうとしてたら日吉が校舎裏へ行くのが見えた
「なんや、また告白かいな…」
溜め息を吐き出し、いつも通りのポーカーフェイス
いつも通りじゃないのはこのモヤモヤした感情だ。
「忍足さん」
「ん…、日吉かいな」
ボーっとしとったらいつの間にか日が暮れとった。アカン、帰らんと
「今日…部活前に呼び出しされていたでしょう?」
スッと日吉は俺の左頬に手を伸ばした
「あんな女が貴方の肌に傷を付けるなんて…考えるだけで吐き気がした」
もう痛みは引いた俺の頬を撫でる
「アカンで、日吉。女には優しくな」
ほんま言えるような義理でもないくせに
よう口から安い言葉が出るな。
「そういやぁ、自分さっき呼び出しされてたんとちゃうん?」
「貴方に手を上げた女にちょっと警告してただけですよ」
まさかとは思ったったけど
パートナー同士とことん似とるな
「で、…自分の左頬の跡は?」
「先程のアンタと同じコトされたんですよ」
あんな女に触られたんか。
ゆっくり、丁寧に手の平で日吉の頬を撫でる
綺麗な形の良い顔に赤い頬、
違う奴に付けられた傷
胸くそ悪くなって日吉に口付けた
もしや嫉妬?
(2人して)(考える事は同じなんだ)(他の奴に触れさせたくないなんてさ。)
Fin.