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人間てのは天邪鬼だ。

自分の気持ちを素直に口に出せる人間なんてそうそう居るもんじゃない。
それは、俺だってそうなわけで。
きっと彼もそうなんだろう。(きっと気づいてないだろうけど)


「いーーざぁーーーやーーーくーーん。なぁんで君が池袋にいるのかなぁ」

ドスの聞いた低い声が後ろから聞こえる。


「やだなあ、シズちゃん。俺がどこにいようが俺の勝手じゃない」

飛んできた自販機をひょいと避けながら彼の理不尽な言い分もうけながす。
当然それもそうか、なんて見逃してくれるわけもなく。

「うるせぇ。とっとと死ね!」

「そんなに青筋たてて怒ってたらそのうち血管切れちゃうんじゃないの?」

「うるせぇ!死ね、いますぐ死ね。」

もう投げるものが無くなったのか素手で殴りかかってくる。
それを紙一重のところでかわしながら
ひとつ、彼に質問を投げかける。


「ねぇ、シズちゃん。シズちゃんさぁ、俺のこと嫌い?」

「嫌いに決まってんだろこのノミ虫野郎!」

「ふーん、へぇ、そう」

満足そうに笑い臨也はぐっと距離を縮める。
そしてその勢いに任せて静雄の心臓があるだろう位置にナイフを突き刺した。
当然ソレは心臓に届くはずもなく5ミリ程度肌にめり込んだだけだったが

「俺もね、大嫌いなんだ。シズちゃんのこと、殺したいくらいにね。」

「死ぬのはてめえだッ!」

静雄の渾身の一撃を受け流し後ろに飛んで距離をとる。

「知ってる?好きの反対は無関心なんだって。じゃあ、嫌いの反対はなんなんだろうね?」

「ごちゃごちゃ言ってねぇでさっさと死ねッ!」

「あはは!そうだよね、シズちゃんの脳味噌には限界があるよねぇ!」

ブチブチと何かが切れる音がする。

「いぃーーーーざぁーーーやぁぁーーー!!」

「ははは!じゃ俺は忙しいんでこのへんで、まだ殺されたくないからね」

「待ちやがれ臨也ぁ!」






追いかけてくる静雄をいつものように捲いて帰路につく


ねえ、シズちゃん、
これは持論なんだけどさぁ、俺はね、嫌いの反対は愛だと思うんだ。


俺はね、大嫌いだよ、シズちゃんのこと。
だからずっと俺のこと大嫌いでいてね。


それはなによりも確かな歪んだ俺の愛のカタチ




初臨/静文です^^
わわわわ、もっと精進します´`




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