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俺は自販機を投げられる。
ポストだって標識だって俺の手にかかればすぐ使い物にならなくなる。

でもな。知ってるか?

器物破損って言葉を。

もちろん俺だって聞いたことはあった。

でも小学生の頃からおとがめなしだったからたいして気にも止めなかった。

運が悪かった。
そんな一言ですんでしまうその出会いで俺の人生がこんなにも変わってしまうなんて思ってもみなかったんだ。





―静雄15歳



「ごちゃごちゃと、うるせえええぇぇぇえ!!」


ずどぉーん!!


今日も俺は我慢ができなかった。
自販機一個と標識二本。

今日俺が駄目にした公器の数だ。

俺はいつものようにその使い物にならなくなった鉄の塊を地面に投げ出して家に帰ろうとした。


ぐいっ

「!?」

いきなり後ろから肩をひっぱられてバランスを少し崩す。
さっきぶっ飛ばした奴らの残党かと思い殴りかかろうと振り向く。

が。


ソイツの姿を見た瞬間静雄の動きがぎしっと止まる。


(……まずい)


そう。そこに立っていたのは警官。

どこからどうみても警官。


自慢じゃないが静雄はこんなに暴れていても警察のお世話になったことはない。

でもこの状況がまずいことくらい静雄にもわかった。

ひしゃげた自販機。折れ曲がった標識。


だが警官の口からでたのは予想外の言葉だった。


「やぁーすごいすごい、これ全部キミがやったの?」

「…は?」

「なんて、そんな細腕でこんなことできるわけないか」


(…ごまかせるか?)

「…や、えっと、これは」

「なんてね、最初から全部見てた。」

(っうぜぇ…)

外見はいかにも警官らしい好青年、眉目秀麗とゆう言葉がぴったりといった感じだが態度は真逆。


「あの、俺捕まるんすか?」

「、そうだね。自販機一個に標識二本。いくらになるのかなぁ。ざっと見積もって、5百万くらい?」

「ごっ!?」

「公共のものって高いんだよ、意外と。」

「それって…弁償…?」

「、キミ次第かな。」

「は…?」

「こんなの俺が上に報告しなきゃ、誰がやったのかなんてわからない。」

「…警官が中学生脅迫すんのかよ。」

「やだなぁ!人聞きが悪い。脅迫じゃない。交渉、だよ。」

「内容は。」

「俺の仕事の手伝い。」

「ざけんな!俺は帰る。」
その警官に背を向けて静雄は歩きだす。


「親御さんは悲しむだろうなぁ!まさか自分の息子が公器破損して警察に捕まるなんて夢にも思ってないだろうね?」


ぴたっ。
静雄の歩みが止まる。

「5百万だよ5百万。君の親御さんが汗水ながして働いて稼いだお金がこんなことに消えるなんて、親不孝だねぇキミも。」


そしてくるっと振り向くと警官の方へつかつかと歩み寄り胸ぐらを掴んだ。


「…その交渉、のってやる。」

「そうこなくちゃ」
口角をあげて笑う


「キミ、名前は?」

「…平和島静雄」

「俺は折原臨也。よろしくね、しずちゃん?」

「っだれが、しずちゃんだ!」






5百万かどうかは知りません^^
わからない、自販機がいくらするかなんて誰にもわからないんだ…。


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