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「シ、シズちゃん…?」

おそるおそる目の前の人物に問いかけてみる。

「、あぁ。」

答える静雄。臨也も自分に視線を落とし自分の身体だとゆうことを確認する。

「じゃあ俺たちもとに戻ったんだね」

「そうみたいだな。」

自分の拳を開いたり閉じたりして確かめてみる。

(確かにノミ虫の身体じゃねぇな。)
しかしどことなく違和感を覚える。

(まぁ、戻ってすぐだからか。そのうち感覚も戻ってくるはずだ)


「まぁとりあえずお礼だけは言っておくよ」

「無事元に戻ったということは私の実験は成功だ!これで私もなんの心配もなくセルティ君といれかわることができいいいいいいたい!いたいぞ新羅!実の親に向かってなにを、いたたたごめん!ごめんもういれかわるとかいわないか、ら…」

背後から頸動脈を締め付ける新羅。
そのままピクリとも動かなくなった森厳を見下ろし何事もなかったかのように振り返った新羅の笑顔はそれはそれはすがすがしいものだった。

「とりあえずじゃあ、一件落着とゆうことだね。どうする?珍しく3人集まったんだから飯でも食う?あ、もちろんセルティが仕事から帰ってくるまでだけど」

「いや、俺はいい。仕事がある」

「俺も遠慮するよ。大体帝人くん達みたいな仲良し3人組が一緒にご飯、ならわかるけど俺たちは生憎、そういう関係じゃない。」

その仲良し3人組の仲をめちゃめちゃにした張本人は誰だ、と新羅は言いたかったがやめておく。

「さて、じゃあシズちゃんの弱みも握ったことだし、帰るかなぁ」

「なんだよ弱みって」

「シズちゃんが寝てる間俺がおとなしくしてるとでも思った?」

「ってめぇ…!なにしやがった!」

ニヤリ、と臨也は不敵に笑うと懐から出した携帯の液晶を静雄の顔の前にずいっ、と突きつける。

「じゃーん☆俺の今の待ち受け!」

意味がわからず突きつけられた携帯の画面を見る。

「……んなっ!!!!」

そこには確かに静雄の姿でだが決して本人がすることはない格好と表情の静雄が居た。
そう、兎耳をつけ極上の笑顔でさらにウインクまでした静雄の姿が。

「いいいいいいざあああああああやああああーーーー!」

「あっはは!どうするこの写真?」

その写真は角度からしても完全に自撮りでありそんなものがネットに流されでもしたら静雄は池袋の街を歩くことはできなくなるであろう。

「消す。てめぇもろとも消し去る。」

「それはちょっと困っちゃうなぁ」

じりじりとにじり寄ってくる静雄。

すると臨也が静雄のうしろを指さして「あっ!!」っとでかい声を出す。
それに釣られて振り向いてしまう静雄。

「こんな古典的な手に引っ掛かるなんてシズちゃんもまだまだだよねー」

だまされたと気づき振り返ると臨也はもう新羅の家のドアのほうまで走っていた。
そしてそのままドアを"勢いよく"開けて逃げ出そうとした
そう、勢いよく。



ドンッ!!!


「「「……」」」


3人の目線の先にはひしゃげてしまったマンションの扉だったもの。

「…え?」

やった本人も何が起きたかわからない、といった風だ。
確かにここに居た3人はこういった状態のものはよく目にする。
でもいつも"それ"をやるのは金髪のバーテンダーの仕業であり、この情報屋の仕業ではない。
とゆうより、静雄以外にこんなことができるやつは見たことがない。

「い、臨也、いつからそんな力持ちに…?」

「俺が聞きたいくらいだよ、新羅。」
ひきつった笑みを見せる臨也

「とりあえず、落ち着こう。」
そう言ってはた、と気がついたように新羅は静雄にアルミ製のカップを手渡す。

「静雄、力一杯握ってみて。」

言われるがままに握ってみる。
が、いつもなら簡単に鉄の塊と化すそれがカップの形を保っている。

もう一度ぐぐぐ、とより力を込めてみるがびくともしない。

「っなんでだ?」


「これは僕の推測にすぎないけど、

もしかして、力だけ元に戻ってない…?」


「そんなはずはない。私の薬は完ぺきだった筈だ。」

さっきまで床に伏していたはずの森厳が顎に手を当てて考え込んでいる。

「2人とも、いくつか質問に答えてもらっていいかね?」

「別に構わないけど」
静雄も無言で頷く。


「口の中に傷、口内炎、出血などしてる個所はあるかね。」

「ないよ。」
「俺も、」

「じゃあ口の中に血液をふくんだりなんかは」

「そんなことするわけな…あ。」
「…したな。」

臨也の手をかじって出血させたことを思い出す。

「でも、それになんの関係が」

「大ありだ。そもそもあの薬は口内のDNA濃度をお互いに一定量含んでいなければならない。しかしそこに君の口内にわずかに残っていた君の血液が入り混じり、本来戻らなければならないはずの静雄君の情報が君のなかに残ってしまっているんだ。」

「つまり?」
よく意味がわからなかったのだろう静雄が尋ねる。

「つまり、静雄の身体は力の使い方を臨也のなかに置いてきちゃった、だから今はいつもみたいな馬鹿力は使えない。」
わかりやすく新羅が説明する。

(戻った時の違和感はそれだったのか、)

「…戻るのか?」

「可能だ。口内の遺伝子情報を一回リセットしてあの薬をもう一回飲めばいい。」

そう言って森厳がとりだした薬を横からでてきた手がかすめとる。
「へぇ、これをもう一回飲めば、ねぇ」

よからぬ笑みを浮かべた臨也がその薬を懐に入れる。

「シズちゃん、元に戻りたかったら新宿の俺のオフィスにおいで。」

「あ?」

静雄がその言葉の意味を理解する前に臨也は駈け出した。

「てめっ待てこらぁ!」

そのまま臨也を追いかけようとした静雄の手を森厳が引き止める。







「もうひとつ、言っておかなければいけないことがあるんだ。」










いい加減完結させろばかやろーが!とゆう声が聞こえる気がする。
次回いよいよクライマックス?の予定^^!


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