今日の保育園のおやつは静雄の大好きなプリンだった。
「あれ、しずお!ぷりんたべないのかよ」
「たべない」
こくりと頷く静雄。
「じゃ、おれもらいー!」
「あっ!」
その子は静雄のプリンを手から奪うとあれよあれよと言う間に平らげてしまった。
ぼかっ!
「う、うわ―ん!せんせえ、しずおがっしずおがなぐったぁ」
泣き声を聞きつけて先生が駆け寄ってくる。
「こらこら、どうしたの!静雄くん、どうして叩いたの?」
問いかけるが静雄はうつむいたまま何も喋ろうとしない。
とゆうことが今日のおやつの時間にあったそうなのだ。
静雄を迎えにきた臨也は先生からその話を聞き、教室の隅でうつむいている静雄に視線を移した。
「しず、おいで。」
そういって手招きをすれば静雄はとてとてと駆け寄ってくる。
駆け寄ってきた静雄に目線をあわせるようにしゃがんで静雄頭にぽん、と手をのせた。
「しず、何があったの?」
ちら、と静雄は臨也の方を見るが下唇をちょっと噛んでまたうつむいてしまった。
「ほらこっち向いて?俺はしずが理由もなしに自分から人を殴ったりする子じゃないって知ってるよ?」
すると静雄はゆっくりと口を開く。
「だって…、あいつがおれのぷりん、かってにっ」
話していてこらえきれなくなったのか涙がぽろぽろと頬をつたう。
「おれっ、い、いざやにぷれぜんとしよ、とおもってったべるのがまん、してたのにっ」
それを聞いて臨也は胸があつくなるのを感じた。
(あぁ、もうこの子はほんとに!)
いまだしゃくりあげている静雄の涙を指で拭ってやり優しく話し掛ける。
「うん、わかったよ。しずは優しい子だね、」
にっこりと笑い静雄の両肩に手をのせ、臨也は続ける。
「でもね、どんな理由があっても人に暴力をふるうのは良くないことだ。わかる?」
静雄はこくん、と頷く。
「よし、じゃあどうすればいいかわかるね、」
またこくんと頷く。
「おれ、あやまってくる」
そういうと殴ってしまった子のところへ駆けていった。
「静雄くん、いい子ですね。」
「当たり前じゃないですかぁ。うちの子もうかわいくてかわいくて、目に入れても痛くないってゆうかむしろかわいすぎてうちの子以外目にはいらないってゆうかうんたらかんたら」
「………」
さっきまでとってもいい保護者だったのに一遍して変質者になりさがった臨也から、話しかけた先生はすすす、と離れていく。
そうこうしてるうちに静雄がこちらに向かって走ってくる。
そのまま勢いよく臨也に向かってぼすん、と突撃してくる静雄。
「いざや!俺、ちゃんと謝れた!」
「うん、よくできました。」
頭を撫でてやると静雄は嬉しそうに顔をほころばせた。
「よし、じゃあうちに帰ろっか。」
そういって手を差しのばすときゅっ、とおとなしく握ってくる。
「今夜なに食べたいー?」
「ぷりん」
「しずそれは夕ご飯じゃないよ」
夕暮れの帰り道を他愛もない会話をしながら歩く。
「そういえば、」
思い出したように静雄に問いかける。
「なんでプリン俺にプレゼントしようと思ったの?しずプリン好きでしょ?」
「せんせいが、いってた」
「なんて?」
「おれが、もらってうれしいものをあげたら、もらったひとはよろこんでくれるって。おれ、いざやのうれしいかお、みたい。」
「…俺は、その気持ちだけで嬉しいよ」
そう言った俺の顔はたぶん自分でも見たことないくらい"うれしいかお"をしていたに違いない。
それを見た静雄もまた"うれしいかお"をしていた。
水色様に捧げます、相互記念小説です><
リクエストが臨仔静だったのですが、もうただの臨+仔静みたいな感じになっちゃって;:申し訳ない!
水色様のみお持ち帰り+苦情可です^^
フォント・行間などはご自由に変えてくださって構いません^^