俺だけの秘密



俺のオナニーのやり方が他とは違うと気付いたのはつい最近だ。
俺は無機質な物に股間を擦り付けるという行為に酷く興奮を覚え、それを幾度となく繰り返してしまうのだ。
昨日は道路標識、その前は自販機、さらにその前はポストだったような気がする。全部外かよ。
野外でやる時でさえ、誰かに見られてしまうかもしれない。という好奇にさえ胸は満ち溢れてしまっている。
自分が変態だということは分かっている。しかしもう、このやり方じゃないと快楽を見いだせないのも事実。
もう、自分の手だけでは気持ち良くなれなくて、達することさえ出来ない。
しかしこんな性癖を誰かに相談する事も出来ず、時は流れていくのだった。

「ッぁ、ふ…ッ、」

さて今日も恋人のいない俺は自家発電に勤しむ訳で。本日のお相手に選んだのは野球の金属バット。
適度に細長く、ベッドに横になって抱き枕の容量で足に挟み込んで上下させればひやりとした感覚に背筋がぞっとするほどの興奮を覚えた。
ぬちゅ、ぬちゅ、とすでに先走りだけでべちゃべちゃになっている金属バットをゆっくりと上、下、上、下、とスライドさせる。
激しく動かしたら一瞬で終わってしまう。
俺は、ゆっくりと快楽を引き出して達しそうになったら手を止め、落ち着いたらまたゆっくりとスライドさせて自身を勃起させていく。
ねっとりと時間が経過してゆく、ゆっくり気持ち良さを味わうオナニーが俺は死ぬ程大好きだった。

「‥ン、も、出ちま、ぅ…ッ」

ブルブルッ、と快感に身体が震える。
自身の奥底から精液がせりあがって来る感覚を覚え、俺は思わずギュッと自身を指で締めつけた。

「あ、ぶね…ッ。‥も、ちょっと…ッ、あ、とッ、少し、だけ‥ッ」

大好きな亀頭の部分をぐりぐりと指の腹で刺激しながら、たまに乳首もチロチロと指で弄る。
もうどうしようもなく気持ち良く、意識がぼんやりと霞んでゆく。
頭の中はとっくに真っ白だ。ハァ、ハァ、と息を荒げながら腰をバットに寄せて擦りつけると、ゴールはすぐに見えた。

「も‥、イく…ッ、イく、出るぅ‥ッ、、!」

ドクンッ、と自身を握っていた手が白濁に汚れるのを感じながら俺は目を閉じた。
俺だけが分かる、誰にも言えない秘密。明日はどんな物を使ってオナニーしようか。
わくわくとした気持ちをなんとか抑えつけながら、後処理もせず俺はそのまま眠りについてしまうのだった。

(金属バット…中々よかったな、来週もこれにしよう)


end.

since*2010.04.24 なか

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