甘えんぼ「銀時くーんいますかー」 ある晴れた、昼下がりの午後の事。 「銀時くんはジャンプに夢中なのでいませーん」 「意味が分からん、居るならさっさと出ろ、銀時」 「えー、なんの用事もないのにズラを入れる意味が分かりません」 「せっかく手土産を持ってきたというのにいらんのか、美味しいシュークリームというお菓子なのだが…」 「え、いります、ください、小太郎様お入りください!」 「現金なヤツ…。ほれ」 「よっしゃ、麦茶でいいか?つかそれしかねぇけどいいか?」 「なんでもよい」 こんなんでも、桂と銀時は付き合っている。こんな、なんの変哲もないやり取りだが、一応愛はある。一応。 促されるままリビングに通され、ソファに腰を降ろす。 台所でお茶を用意する銀時の後姿を、桂はそっと見つめていた。 これでも、そばにいるというだけで桂は幸せだった。 仕事もロクにせず昼間から漫画本を読み漁ろうが、寝てようが、糖分摂取してようが、桂は銀時が大好きだった。 やる時はやる事を知っている。戦いの時には頼りになって、とても格好良いから。 気づいたら、背中に穴が開いてしまうかと思うぐらい銀時を見つめていたようだった。 「んだよズラ、そんなに見つめられたら溶けちまうよ」 「…す、すまない。そういえば今日はいないのか?神楽殿と新八殿は」 「神楽は新八にくっついて、新八の家にいったよ。結構でかいんだよな、あそこは」 「そうなのか…。‥ならば、二人きりということになるな」 二人プラス犬が不在と聞いて、桂の顔がほころぶ。 誰にも邪魔されない、二人だけの時間を。誰にも。うっすらと頬を染めて、桂は銀時を見つめた。 「二人きりだとまずいのか?」 「まずくない。…う、嬉しいのだ…。銀時‥」 「ん…。今日の小太郎くんは発情期ですかコノヤロー」 「キスぐらいよいではないか。…銀時はしたくないのか…?」 「したくねぇわけないだろーが。必死に押さえてんだぞ理性を、銀さんは!」 「何を抑える必要がある。恋人同士が、何故気持ちを押さえ込まなければいけないのだ。もっと本能で動いてもよいのだぞ」 「誘ってるんですか?誘ってるんですかー?!…銀さん狼さんになっちまうぞ?」 「なってしまえばいい…なぁ、銀時…。俺、もう‥」 「何でこんなに積極的なんだよ今日は!ズラ!」 「…ズラではない、桂だ…」 桂から銀時の頬へ一つキスを贈ると、銀時は驚いたように目を見開いた。 今日に至っては、桂が積極的すぎる。自分から誘うように常に上目遣いで、潤んだ瞳のオプション付だ。 銀時の中の理性はいともあっさりとぶち壊され、桂をソファにどさりと押し倒した。 互いの両手を頭上で握り、指先までしっかりと交差させて絡める。 今度は銀時から軽いキスを贈ると、物足りなさそうに桂が目で訴えてくる。 たまらず顔を近づけて唇に深く口付けながら股間を桂の太股に押し付けると、桂も興奮したように舌を絡ませながら腰を揺らした。 「‥ン、ぁ、銀、もう触って…ッ」 「すっげ色っぽいんだけど…なんなのお前、フェロモン出すぎ」 「意味が分からんぞ…早く、銀…」 「分かってるって、こた‥」 「あ、ァッ!」 手早く着物をはだけさせ、絡んでいた手を離して中に滑り込ませる。 指先に当たった、赤く熟れた乳首をきゅっと摘んでやると桂の体がビクリと震えた。 そのまま指先でぐにぐにと押すように刺激して、もう片方の手で股間をまさぐる。 すでに先走りが下着に染みを作ってしまうほど滲み出ていて、下着の中に手をいれると、指先がねちゃりと厭らしい音を立てた。 「ぎん、とき‥出したい…。もっと扱け」 「おまッ、そんなえろい顔してえらそうな口聞くんじゃねぇよ。ツンデレですか」 「うるさいッ…、銀、ァ、い‥ぃ、もっと…」 「先っぽ弱いんだよな?小太郎ちゃんは…。こっちの方もいじってみっか」 ずるりと下着を手早く脱がせ、足を開脚させた。間に入って、先走りが垂れてしとしとと濡れそぼった蕾に中指を這わす。 全てが性感帯になったかのように桂はビクビクと体を震わせて、不安げに銀時を見つめた。 (この顔、たまんねぇ。俺ってばSだから。実はサディスティック星から来たから!) 無意識にニヤニヤと顔を緩ませながら、ずぷりと中指を根本まで挿入する。 急に指を挿入された桂は、変な奇声をあげて目を見開いた。 「うァアッ!‥い、痛い、ではないか、銀時…ッ」 「だいじょーぶ、すぐに良くなるから。ほら、こことか?」 「ひぁンッ、あ、そこ、やだ‥」 「やだじゃねぇ、イイんだろ?ん?」 「…ッ、あ、あ、アッ、感じるッ、すごいッ、!」 「腰揺らしちゃってやーらしーィ」 割と前にあった前立腺を指でぐりっと刺激してやると、予想通りに桂が喘いだ。 ついでに左右に小刻みに指を動かしてやったら、その揺れと同じく息を漏らし、腰を揺らしてくる。 お気に入りの事務所のソファが、桂の涎でぐっしょりと濡れているが、そんな事は気にしていられない。 銀時も余裕が無くなってきたので、指を増やして指の抜き差しを激しく繰り返した。 (気持ちよすぎて、体がどこかに持っていかれそうだ…。駄目だ、銀時の指、気持ちいィ…) だらだらと涎を零しながら、快楽に飲み込まれた桂は焦点の合わない潤んだ瞳でどこかを見つめていた。 「意識朦朧とするくれぇキモチイのか?おら、挿れっから腰あげろ」 「ん、ん、ッ、ぁ、銀、ぁアッ!」 「あー、あったけぇ…。小太郎、動いてい?」 「奥、いっぱい、擦ってくれ…ッ」 「了解しましたぁー、っと」 「んァッ!あっあっ、ぎんッ、はげしッ‥!」 「こたろーちゃんは激しいのがお好きなんだろぉ?」 「アッ、好きぃ、すき、だめ、もうイくッ」 「俺まだだからもうちょっと待てよ、勝手にイくなよ」 「ふァッ、押さえるでないッ…!、くるしッ…、銀ッ、」 「…うし、出そうだ。一緒に行こうな、小太郎」 「ぅ、はァ、ア、一緒、が、イイ、あ、もうでる、でる…ッ!」 「俺も…ッ」 互いに、挿入してから数分と経たない内に達してしまっていた…。 「あれ、もう行くのかズラ」 「一応追われる身なのでな。それにズラではない、桂だ」 「今日はやけに可愛かったから、もっと一緒に居たかったのになぁ」 「…貴様何を言っている。‥俺が盛ったらいけないのか?」 「!!いけなくありません、全然いけなくありませーん!」 「そうか、なら…」 玄関先、桂が草履を履き終えるとくるりと振り返り、銀時に顔を近づける。 そっと軽く、ちぅと頬にキスすると今までにないくらいにこりと笑って 「また来るぞ」 そう一言残して、出て行った。 一瞬のことにあっけにとられた銀時は、しばらくぽかんと突っ立っていたが事実に気づき…。 「え、ちょ、小太郎君?!なに?!かわいいよ!すっごくか、かわいかったよ?!」 一人、玄関で地団駄を踏みながら桂の可愛さに悶えていたのであった。 終 since*2007.05.02-2007.05.11 水沢 |