ついったログ◇桐生ちゃん風邪ネタ(多分大桐) それは何時もの東城会の幹部会が終了した頃だった。 幹部が次々と黒く高級感のあるソファから腰を上げて退席して行く中、未だぼんやりと其処に沈み込んでいる彼を、大吾は不思議に思っていた。 (桐生さんが最後まで残ってるなんて、珍しいな) そういえば、会議中の彼は特に発言も無くとても大人しかったように思う。 桐生さん、と声を掛けながら彼に近寄っても反応はまるでなく、ただ遠くの一点をぼんやりと眺めているだけだった。 大吾は彼の傍に来てようやく気が付いた。これは非常事態だと。 「桐生さん、大丈夫ですか」 近づいてまず目についたのは、彼の額にびっしりと張り付いた脂汗だった。 目も開いてはいるが、開いていると言うよりは意識が朦朧として視点が定まっていないという表現の方がきっと正しい。 大吾は迷わず、桐生の額に手を翳した。 「酷い熱だ…。桐生さん、聞こえますか?桐生さん?」 何度か問いかけた後、彼は漸く目の前の人物に気が付いたようだが、声を発する事も億劫なようで小さく「だいご…」と呟くとそのまま目を閉じてしまった。 これはまずいことになったと、大吾はそっと桐生を横抱きで持ち上げ、颯爽と自室へと連れ帰った。 |