丁重に愛でさせていただきます



「静雄、釣り行くべ」
「はい?」

…という訳で、現在俺達は船の上にいる。お互い休日で、天気も良い。絶好の釣り日和である。
昨日の今日だったからまさか「いいですよ、行きます」と返事を貰えるなんて思ってもいなかった。
幸い俺は前々から船舶免許を所持していたので、朝早く小さな船をレンタルしに行き今に至る。
資格取得は趣味のような物だったから、俺は船だけではなく様々な資格を持っていたりするのだ。
まぁ俺の話はこれぐらいにして、今は釣りだよな、釣り。
静雄は釣りをやった事がないらしい。というかさせて貰えなかったらしい。
釣り竿なんてそんな繊細な物、静雄に持たせたら一発で破壊されてしまう。親御さんはそれが怖かったようだ。
俺の細やかな指導の元、現在池袋最強の男平和島静雄は海に向かって釣り糸を垂らしている。

「静雄ー、どうだ?当たりは」
「‥すんません、良く分かんないっす」
「そっかぁ。まー初めてなんてそんなもんだべ、餌に食いついてんのかどうかも良く分かんないうちに、釣りあげたりするもんよ」
「そうなんすか?」
「ん、そうそう」

細い釣り竿を両手で持っておどおどする姿は普段の静雄では想像できない位可愛い。
ただ海の波によって揺れただけの竿を何度も何度も「これ引いてますか?!これは?!」と嬉しそうに聞いてくる静雄も驚くほど可愛い。
あれ?なんか俺「静雄が可愛い」しか言ってねぇな。まぁいいや、結論「静雄は可愛い」のだから。
ピコピコと釣り竿を動かす静雄をにこにこと眺めていると、竿に動きがあったようで静雄はこちらを振り向いた。

「トムさんトムさん、これ引いてますよね?絶対引いてますよね?!引き上げていいっすか?!」
「落ち着け静雄、魚が逃げちまわないようにゆっくり引き上げるんだ。そーっとリールを巻くんだぞ、そーっとだ」
「はい、分かりました!そーっと、っすね!」

カリカリカリカリ、ゆっくりとリールを巻く音が聞こえて来た。
水面から顔が出て来た魚を引き上げるべく、俺は大きな網を抱えて待機する。
サバがいいなぁ、味噌煮美味いよなぁ、でも塩焼きも美味いよなぁ。魚は嫌いじゃない。
ようやく糸をほぼ巻き上げたのか、水面から赤い何かがチラチラと顔を出している。
赤い?なんだこれは。鯛?初めてにして鯛?刺身美味いよな、鯛だったら凄い嬉しい。
しかし、静雄が一本釣りで釣りあげたのは……、、、ザバァ

「…え、嘘だろ…こんなとこで釣れるのか、え、嘘だよな…?」
「トムさん!なんかすげぇデカイの釣れましたよ!!これなんすか?!ザリガニ?ロブスター?」
「ザリガニが海で釣れるわけねーだろ、ロブスターだってこの辺じゃ無理だ、そりゃぁ海老だ海老」
「海老ですか?!俺、海老大好きっす!」

これは驚いた。彼が見事釣り上げたのは、大きくて大変活きの良い伊勢海老なのであった。
船上にピチピチと飛び跳ねる伊勢海老を降ろし、まじまじと見つめてみる。
デケェ、いやぁマジでデケェ。静雄の顔と同じ位…いや……。俺はふと静雄の隣に海老を並べてどちらが大きいのか見比べたくなった。
思った事は即行動、俺は海老の甲羅をガッ、と鷲掴んで静雄に近付けた。静雄は悲鳴を上げて後ずさる。当たり前か。
こんなデケェもん近付けたら誰だって自然と身体が拒否反応起こしちまうか、慣れてない奴ァ。
俺はどうしても、海老と静雄の顔のどちらがデカイのか気になってしょうがなく、何度も近付けては逃げられる、近付けては逃げられる、を繰り返した。
五回程繰り返した所で段々面白くなって来て、どちらがデカイか比べるという目的を失い俺は静雄をからかうという目的に方向転換していた。馬鹿だ。

「ちょっ、ホントやめてくださいトムさん!いくら海老が好きでも近付けられたら意外と怖いっすよそれぇ!」
「ははっ!ほれほれでっかい海老さんだぞぉ静雄、怖くないぞぉ静雄」

面白いぐらい静雄が反応してくれるのでこちらも嬉しくなってしまう。これはいじめがいがある。
顔に近付ける所から始まり、胸にくっ付けたり背中に入れたりと徐々にエスカレートしていく。
伊勢海老が釣れた事により釣りを早々に放棄した俺は、静雄をからかう事に夢中になってしまう。
胸やら背中やらに伊勢海老を擦り付ける度に可愛い悲鳴を上げるものだから、こちらも必死になってからかってしまうってもんだ。
しばらく近付けて遊んでいると、突然静雄が「ひゃぁ!」と素っ頓狂な声を上げた。
どうやら海老の触角やら尻尾やらが静雄のイイトコロを刺激するようでたまらず声を上げてしまったらしい。

「静雄?」

目に溢れんばかりの涙を蓄えてぷるぷる震えている静雄が、何か言いたそうにこちらを見てくる。
俺は静雄から決定的な一言を引き出したくて、下心丸出しの顔でニヤニヤと静雄の言葉を待つ。
酷い変態である、それは認めようと思う。

「どした?」
「…あ、えっと…ッ」
「その…だから、あのッ」
「んー?」

静雄の腰をこちら側に引き寄せ、近付ける。そっと顎を持ち上げてちぅ、と触れるだけのキスをすれば。
自分の衝動を抑えきれなくなったのか、静雄は軽く膨らんだ股間を俺の腰にすりすりっ…と擦り寄せてもじもじし始めた。
じれったいな、はやく言えよ。「ヤりたい」…ってな。俺から誘ってもいいがそれではいつも通りで面白くない。
だから俺は静雄からその一言を待つ。尻をやんわりと撫でたり、股間に手を這わせたりしながら遊んでいると。

「ァ‥ッ、トム…さんッ‥、シたい、です…おねが‥ッ」
「やぁーっと言ったな静雄。海老さんに感じて、ヤりたくなっちまったんだべ?」
「べっ、別に海老に感じてるわけじゃ…ッひゃ!」
「ほら感じてんじゃねーか。んじゃ今日はでっかい海老さん使うべ」
「…え?」

別にとか言い訳する静雄の胸に伊勢海老をぺとりとくっつけて少しだけ乳首を刺激する。
その度に良い声を出すもんだから、俺は変にムラムラしてきちまって船の上だというのに静雄をその場にドサリと組み敷いた。
海老を使うという発言に顔を真っ青にしている静雄を尻目に、静雄の着ている服を着々と脱がしてゆく。
そして胸のあたりにぺとり、と伊勢海老を置いてやる。これで静雄は起き上がれないって訳だ。俺頭良い。
何故だか知らないが静雄はワサワサと動く伊勢海老を怖がっている模様。
静雄ならこんな海老ぐらい片手で握りつぶせるだろうに、そうはしないで海老が動く度にビクビクと震えている。
池袋最強の男がでかい海老位でこうなっちまうなんて…可愛いもんだろ?

「なぁに怖がってんだ、静雄」
「こっ!…怖がってなんか、ないで‥ッふぁ」
「感じるわ怖がるわ忙しい奴だなお前。可愛いけどよ」
「ぁ、やッ…、笑わないで下さいよトムさんのばかぁ‥ッ」
「あ?お前馬鹿っつったな?よーし分かった、トムさん本気出しちゃうぞ」

だらだらとはしたなく零れている静雄の先走りを指先に絡め、二本まとめてケツの穴に挿入する。
俺にすっかり開発されてしまったこの身体は、もうガバガバである。二本位じゃ悲鳴すらあげなくなってしまった。
そのまま奥まで突っ込んで、ぐちゅぐちゅと中を掻き回してやる。
前は完全に勃起していて、指を動かす度あんあんと引っ切り無しに喘ぐ。
よーく解した後、静雄の胸に乗っていた伊勢海老の尻尾を、静雄の穴に宛がいゆっくりと挿入した。

「え、ちょ、トムさん何して…ぁああ!!」
「ほーらでっかい海老さんだよ静雄、美味しいだろ?」
「あ、あッ、やだッ、尻尾が中でビチビチ動いて…ッひぁ!」
「気持ちイイのか?とんだ淫乱だな、そんな静雄も大好きだぞ」

海老の身体も半分程埋まり、静雄の中でビチビチと元気に尻尾を振り回しているようだ。
このままでも充分楽しいのだが、これではあんまりにも静雄が可愛そうだったので快楽に溺れて息も絶え絶えの静雄の頬をペチペチと叩いてやる。
こっち向け静雄、俺だぞ、お前のトムさんだぞ。

「しーずお、俺の、欲しいか?」
「ほ、しい…こんな海老じゃなくて、トムさんの熱くて太いのが、欲しい‥れす」
「よくできました。良い子だな?静雄は」
「本当れすか…?うれし、ぃ‥あん!」

ぐちゅり。このやり取りにて不必要になってしまった伊勢海老を強制退出させる。
海老が大暴れしてくれたお陰で、静雄の中はどろどろのぐちゃぐちゃでガバガバだ。今挿れたら絶対キモチイイ。
静雄の両足をがっぱり開いて、自分自身をズボンから取り出し静雄の穴にぴとりと宛がう。
そして、ぬぷぬぷじわじわ挿入して、そのまま静雄を優しく抱き締めた。

「しずお…静雄‥ッ、」
「ふぁああッ…!トムさんが入って…く、る‥ッン!」
「…ク、静雄…好きだぞ…静雄ッ」
「やッ‥激し、きもちィ、トムさ、好き、好きィ…ッ」

ここまでの過程の静雄の痴態によって限界寸前だった俺の股間は、見事に暴走してしまった。
挿れたばかりだと言うのに素早く腰を揺らしてピストンさせ、静雄を限界まで追い詰めていく。
今日一度も達していない静雄は、ビクンビクンと腰をくねらせて「イきたい、イかせて」と俺にせがんで来る。
俺もイきそうだったしこれは丁度良いと、静雄の自身を乱暴に扱いて腰を小刻みに揺らした。

「あっあっイく、トムさんもう出るぅ‥ッ!」
「俺ももう出すぞ‥ッうァ、」
「トムさんッ、トムさぁ……ッァアア!」

お互いに達し船の上にぱたぱたッ、と大量の白濁が飛び散った。
さて忘れているだろうがもう一度、いや何度でも言おう。ここは大海原の上である事を。


日もそろそろ暮れる頃、散々海老で遊び倒した俺達は池袋へ帰って行くのであった。
本日の成果は伊勢海老一匹。船を一隻レンタルしたのにこの成果は酷い。
別の事に夢中になりすぎてしまったようだ、しょうがないだろ?静雄が可愛くて可愛くてどうしようもなかったのだから。
これから先、小さい海老にも大きい海老にも静雄は反応する事だろう。
これも一種のトラウマ、という奴である。

(俺もう海老喰えないっす…)
(くだらねェと思いつつ、なんだかんだで俺も楽しんでるよな)



end.

since*2010.06.11 なか

紅子様の「いただきます」企画に提出させて頂きました。
食べ物x静雄という素敵な企画、本当にありがとうございました。
使用した伊勢海老はだらしない顔のトムさんがむしゃむしゃ美味しく頂きましたよ!もちろん一人で!

「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -