2日目


目を覚ますと、俺は見慣れない部屋に居た。


「‥‥ここ、は」

畳や襖のある純和風な作り。俺は畳に敷かれた布団に寝ていた。
眠くてよく回らない頭を無理やり働かせ、昨夜の事を思い出す。

(そういえば、あの女の家に連れてこられたんだったなぁ)


ただでさえ怪我で弱っていた自分にあの女は躊躇なく手刀をいれ、自分の部屋へと引き擦って連れてきた(らしい)。

気絶から目覚めたときには既に治療が施されていた。
文句を言ったときのあの女の恐ろしいほどの笑顔は忘れられない。
思い出して、気分が悪くなった。

そのとき部屋の扉が開いて、隙間からあの女がひょいと顔を出す。


「おはよう、怪我はどう?」

「‥もう歩ける。出て行くぞぉ」


実際はまだ療養が必要なのは自分でもわかっているが、立場上これ以上この女と関わるわけにはいかない。
というか関わりたくない。


「そう?じゃあ、朝ご飯だけでも食べてって。もう2人分作っちゃったからさ」

「‥あぁ。世話になったなぁ」


昨日のあの感じだと引き留めるのではないかと警戒していたが、案外あっさりとしている。

よくわからないがこちらとしては助かる。などと1人で考えていると、ピンポーンと軽い呼び鈴が鳴った。


「はいはい、どちらさま〜?」






prev | next#

back





×