2日目


「さて、ご飯ご飯ーっと」

「待て」

部屋から出て行こうとする女を引き止める。


「なに?」

「名前を教えろぉ」


もしかしたらこいつは俺らにとっての脅威になるかもしれない。
ならば、名前を訊いておいた方が良い。
女も俺の考えに気づいたらしい。
苦笑いしながら応えた。


「そういえば教えてなかったっけ。
颯夜那っての。あんたは?」

言われて気づく。
一般人に名前を教えていいのだろうか。
そんな思考を見透かしたように、女は俺を見据えて言った。

「大丈夫。誰にも言わないよ。
神‥は信じてないから、じゃああんたに誓おう」


そうだ。
もしこいつが喋れば、始末してしまえばいいこと。
簡単な話だ。

俺は考え直し、名乗った。


「スクアーロだ。スペルビ・スクアーロ」

「そう。よろしく、スクアーロさん」


女ははにかみながら手を差し出した。





(“傲慢な鮫”か…あんまり良い名前じゃないねぇ)

(‥っるせぇぞぉ!)


*prev | next

back





×