02

 
「えー、もう知っているやつもいるかもしれないが、今日からこのクラスに新しい仲間が加わる」


ドアを挟んでいても、教室中がざわめくのが分かった。

「入ってきなさい」
「うっす」

さてさて、どんなやつがいるのか楽しみだ。



ガララ


俺は教卓のある真ん中あたりまで行き教室を見渡した。
好奇と期待に輝くたくさんの顔。
こんなに純粋な瞳を見たのはいつ以来だろう。


「今日から1ヶ月お世話になります、イタリアから来た留学生のレオン・S・ヴィンチです。レオって呼んで下さい。よろしく」

最後ににっこりと笑顔を入れれば、たちまちうっとりしだす女子たち。
うーむ、チョロいな。

「聞いて分かるように、ヴィンチはとても日本語が上手い。とはいえ、わからないこともたくさんあるだろう。
みんなで助けてやってくれ」

女子は嬉しそうに、男子は面倒くさそうに、それぞれ頷いた。

「ヴィンチの席は山本調の隣だ。調、手を挙げろ」

手を上げたのは、胸ほどまである黒い髪を2つに結んだ気の弱そうな女子。
他の女子たちからは、羨ましい、という囁きが漏れた。

俺は突き刺すような視線を感じながら、指定された席まで行った。


「よろしくな、調チャン」

ニヤリと笑って見せれば、少女は怯えたように瞳を揺らした。
 

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