01

 
今日はとても天気が良い。
登校しながら空を見上げていると、可愛らしいソプラノに話しかけられた。


「おはよう、調ちゃん!」

顔を戻すと、我が並盛中のアイドル、笹川京子がこちらにぶんぶんと手を振りながら走ってきていた。


「あ、お、おはようっ京子ちゃん!」


ちゃんと笑顔は作れているだろうか。



「ねぇ、知ってる?今日は転校生が来るんだって!」

「あ、そうなんだ‥」

初耳だった。


「そうなの!それもうちのクラスなんだって。すごく中途半端な時期だよね」

「そうだね」


この間獄寺くんが来たばかりなのにねー、と京子はアイドルに相応しく可愛らしい素振りで話し続けている。

(獄寺くんみたいな子だったらどうしよう‥って、あたしはどうせ話しかけられないから関係ないか。)

この人見知りをなんとかしたいとは思いつつ、もう14年放置してきてしまった。
最早直る見込みはない。


「あ、ツナくん!」

京子はまた新しく友達を見つけたらしい。


「あっ京子ちゃん!山本さんも、おはよう!」京子とはまた違う意味で有名な、沢田綱吉・通称ダメツナがなんともわかりやすく、真っ赤になりながらこちらへとやって来た。


「おはよう、ツナくん」
「おはよ…」

「あれ?山本は?」

そういえば、沢田は武と仲が良いんだった。

「お兄ちゃんは今日から朝練に復帰で…」

「あ、そうなんd「10代目ー!!!」



あ、来た。

あたしの校内苦手な人ランキング堂々3位の転校生、獄寺隼人。

服装からして絵に描いたような不良。
人見知りのあたしにとっては恐怖以外の何者でもない。


「おはようございます、10代目!」

「お、おはよう、獄寺くん!」


ふと、獄寺がこちらを向いた。


「…山本の妹じゃねーか」

「あ、うん‥おはよ‥」


「‥おぅ」



返事してくれた…!!!
この人、実は優しい良い人なのかもしれない。



「おっなんか楽しそうだなーっ」

聞き慣れた間延びした声と共に、頭の上にぽすっと音がして誰かの手が乗ってきた。


「あ、武…」

見上げると、大好きなあたしの双子の片割れがいた。


「おっす!弁当持ってきてくれたか?」
「うん!」

あたしは鞄をがさがさと漁って、武にお弁当を渡した。

「はい」
「サンキュ!」


「あれ、山本、朝練終わったの?」

沢田が思い出したように訊いた。

「ん?あぁ、病み上がりだから早くあがれって言われちまった」

そう言う武は少し残念そうだ。

「武、左腕の調子はどう?」
「全快、全快っ!」

屈託のない笑顔に、あたしはほっと胸をなで下ろした。

この間の並中生を狙った事件の時に、武は左腕に怪我をして帰ってきた。
理由は結局教えてくれないけれど、
治ったならもう問い詰めないでおこう。

沢田が何故か申し訳なさそうにしていたけど、あたしは首を突っ込むべきじゃない。
そんな気がしたから、何も知らないふりをした。

 

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