10

 
扉の傍の席だったこともあり、オレたちが出て行くのに気付いた人間は殆どいなかった。


オレたちはそのまま、校門を出るまで走り続けた。
ふと、肩が軽いのに気付く。

「あ‥荷物、置いてきちまった」

「もって‥きました‥‥!」

差し出された腕には、しっかり2人分の荷物が握られていた。


少し息を切らしてはいるが、日頃から鍛えているオレにしっかりついて来た上、教室から出るあの一瞬で荷物を掴んでくるとは。

文芸部だし大人しいからてっきり運動は苦手なのかと思っていたが、どうやら逆だったようだ。

少し、驚いた。



「‥それで、どうするんですか?」

軽く息を整えた調が、困った顔でちらりとこちらを見る。

「ん?あぁ‥心して聴いてね、調ちゃん」

その言葉に、彼女は自然にすっと居住まいを正した。


「多分、こっから先はリボーンがオレたちの邪魔をしてくると思う」

多分と言ったが、確信だ。
こんなダイヤの原石を、あの鬼畜家庭教師がみすみす逃す筈がない。

「沢田とかは引っかかってるみたいだけど、オレは絶対引っかからないから。
君も、絶対に捕まえさせないから。約束するよ」

かなり走らせちゃうけどね、と付け足すと、調は緩く笑んだ。



「大丈夫。走るのは、得意」




ありがとう、と笑った彼女は、

咲きながら散る、桜のようだった。





青春ランデヴー
あなたと、私で


(この人と一緒なら、大丈夫)
(そんな気がした)
(柄にもなく想ったんだ)
(守りたい、って)







GLじゃないよ/(^q^)\

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