08

 

気付かれてないつもり、なのだろうか。

尾行にしては余りにもお粗末――
いや、素人としては上出来なのかもしれない。



「‥お前ん家もこっちなんだ?」

「‥やっぱり気付いてやがったか」

背中からは喫煙者特有の少しハスキーな声が不機嫌に聞こえる。

「違うよな、こっちは学区外だし」

あえてスルーをしていると、短気な彼はすぐにキレた。

「てめぇ、なにもんだ!?」

なんて素直なんだろう。
突き刺さるくらいに真っ直ぐな視線が痛くて心地良い。

笑えるくらい愚直な少年を、手伝ってやろうか。


「そうカッカすんなよ、スモーキン・ボム」


「っ‥やっぱりマフィアか。どこのファミリーのもんだ!?」

視線が一層強くなるのを、背中越しに感じた。

「落ーち着けって、別に命狙ってるわけじゃねーから。
‥そんなんじゃ、いつか大事な奴らを危険に晒す事になるぜ?」

ダメダメボスとか野球馬鹿とか?と更に煽ってみると、獄寺は簡単に乗せられブチキレた。
その単純さに、イタリアにいる別の銀髪を思い出した。


この任務、思っていたより面白いことになりそうだ。

 

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