『太陽の光、』
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スクアーロは1人自室で悶々と答えの出ない疑問に苛まれていた。

最近の自分はどうもおかしい。
あのガキ――ルナと目を合わせられない。

始めは、もとから大して目を合わせる事もなかったため気にならなかった。
あのパーティでボロボロのドレス姿を見てしまった気まずさもあるからだろう、すぐに忘れるか慣れるかするだろうと。

が、ついさっきレヴィに喧嘩でもしたのかと訊かれた。
当然、余計な世話だ、喧嘩なら常にしてるなどと言ってかっ捌いておいたが。あの鈍いレヴィにまで指摘されるということは、よほど不自然なのだ。

とは言え、考えても考えても原因は思いつかない。どうしたものか…。


スクアーロの思考回路が堂々巡りを始めたそのとき、コンコンと軽いノック音がした。
この職場できちんとノックをしてから部屋に入る奴など、悲しいかな1人しか思い当たらない。

「ルッスーリアかぁ?」

「スクちゃん、入って良いかしら?」

「‥勝手にしろぉ」

ガチャリ
ドアの方を見ると、ルッスーリアが人目を憚るようにそろりと入って来ていた。

「何か用かぁ?」

問えば、ルッスーリアはにんまりと笑って此方へ近づいてきた。
そして勝手に向かいのソファに座り込むと、おもむろにこう切り出した。

「ね、スクちゃん。最近ルナちゃんと全然目を合わせないって本当?」

溢れる好奇心を抑えられないのか、サングラスの向こうの目がパパラッチのようにギラギラと輝いている。

「…知らねぇな」

つい先程まで俺を悩ませていたそのものズバリを突いてくるので少し焦ったが、すぐに冷静さを取り戻してしらばっくれた。

が、奴はその程度では諦めない。
さらににやつきながら問い詰めてくる。

「ねぇ、どうなのスクちゃん。教えて頂戴よ、同僚のよしみで」
「っるせぇ!だったらなんだぁ!!!」

イラついた俺はルッスーリアに蹴りを入れようとするが、軽くいなされた。
体術はルッスーリアの領分だ。

「スクアーロ、アタシで良ければ相談に乗るわよ。悩みがあるんでしょ?」

ふと真剣な表情になったルッスーリアにつられて、気がついたら俺は話し始めていた。
全く、暗殺者失格にも程がある。


「目が見れねぇだけじゃねぇんだ。あいつは今なにしんてんだとか、そんな事ばかり考えちまう。俺はあいつをターゲットだと思ってんのかと‥」
「漸くスクちゃんにも春が来たのね!」
「‥はぁ゛?」


「だから、あなたはルナちゃんに恋してるのよ!!」

これ以上ないくらいの笑顔でルッスーリアは立ち上がりながら言った。



「‥‥‥‥はぁ゛ぁぁああっ!!?」

しまった、あまりに予想外で反応が遅れてしまった。
そんな俺を見ながら、ルッスーリアは自分の事のように幸せそうだ。

「今の話を聞く限り、恋患いとしか思えないわ!」

「ち、ちょっと待てぇ!んな事あるわけねぇだろぉ!あったとしても犯罪じゃねぇかぁ!!」
そうだ、あんなガキ相手に…。
よく知らねぇが、たぶんベルより下だろう。

「え!?スクアーロ、もしかしてあの子の年知らないの…?」

ルッスーリアは口にはしなかったが、「信じられない」と感じているのは明らかだった。

「あぁ゛?知らねぇが、それがどうしたぁ?」



「あの子、もうハタチよ…」








月の瞬き



(んだとぉぉっ!!?)
(本人気にしてるから言わないであげてね…)






 
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