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Trick or Treat



「「「Trick or Treat!!」」」

魔法使いの歩美、猫の光彦、ジャック・オー・ランタンの元太がニコニコと笑ってポアロに入って来た。その後ろにドラキュラのコナンが白けた顔で立っている。

「安室の兄ちゃん!お菓子くれよ!」

元太が手を出して要求してくる。元太にとってハロウィンは実に楽しいイベントに違いない。安室はクスクスと笑いながらカウンターの内側に置いていたものを取り出した。

「どうぞ」

3人の手の上に小さな袋を載せていく。

「はい。コナン君も」

コナンは明らかに気乗りしていない。彼が子供じみたイベントを好まないのは承知しているが、敢えて笑顔で袋を差し出してやるとアハハと乾いた笑いと共に受け取った。

「コナン君もこっちおいでよ!」

他の子供たちは4人掛けの席に座って早速もらったお菓子を開けている。袋の中には飴やチョコ、クッキーが入っていた。残りの1席にコナンが座ったのを見計らって安室がジュースを運んでいく。

「このクッキーうめぇな!」
「もしかして手作りですかね」
「お菓子が入ってる袋もすごく可愛いよ!」

どうやら好評のようだ。キラキラした目がとても眩しい。3人の様子を微笑ましく眺めていると、コナンが不思議そうに見上げてくる。

「何だい?コナン君」
「安室さんってしばらくポアロに出てなかったけど僕たちが今日来ること知ってたの?」
「僕はエスパーじゃないからね。もちろん知らなかったよ」
「じゃあ何でお菓子用意してたの?お客さん全員に配ってるの?」

相変わらずの詮索癖に安室は苦笑してから「うーん」と唸って腕を組んだ。しかし特に口止めされてもいないので話しても構わないだろう。

「このお菓子はね、僕じゃなくて待田が作ったんだよ。君たちがハロウィンにここへ来る話を聞いて用意してくれたんだ」
「ああ。そう言えばアイツらケイさんに話してたな…。でも何で安室さんが?ケイさんが直接持って来ればよかったのに」

彼女も最初はそうする予定だったのだろう。だが昨夜たまたま安室が彼女の家を訪れたことで事情が変わった。

「まぁ……そうなんだけどね。僕が昨日怒らせてしまったから来ないんじゃないかな」
「喧嘩でもしたの?」

コナンの質問に答える前に他の3人が口々に「ごちそうさまでした」と告げた。「ジュースお代わり!」と元太が言うと「ボクも」「私も」と続いたのでトレイに空の3つのコップを回収する。

「安室さん!すごく美味しかったよ!」
「本当かい?僕も1つもらおうかな。実はまだ食べてないんだ」
「あれ?安室さん食べてないの?」

コナンが「ケイさんと昨日会ったんだよね?」と首を傾げるので、含みを持たせてニッコリ笑う。

「食べたらイタズラできないでしょ?」

何かを察して赤くなったコナンに背を向けて、さてどうしたら彼女の機嫌を直すことができるだろうかと安室は思案し始めた。



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