ちずのかきかた


ひんやりとした重苦しい空気のなか。
煌々と灯りのついた会議室の中は不信感や懐疑心で満たされる。

なぁんて言ってみるけど、そんな疑いは激しくどうでもいい。それよりも俺とちゃむはとべちゃんが来るまでの間、どうやって安全地帯まで皆を連れていくか考えていた。


「えー、じゃあ俺と炯至は確実に別れるだろ?」

「いや、分かれないとアカンやつやし。」

ガリガリと会議室の床にナイフでエレベーターホール迄の道筋をちゃむが覗きこみながら、あ!ここ!右に脇道あったよーなんて言うからその時に言えよ!等と言い合いながら彫っていく。ここに来るまでに敵には会わなかったが、帰りはそうとは限らない。さらに今回はバスケ部30人付きである。地図には出発点をこの会議室で◎をつけ、道すがらの部屋は□、未到達地点には×をそれぞれ付ける。それを踏まえて注意すべきいくつかの交点に○をつける。


「俺は見張り。説明よろ!」

「おっけ!じゃあ、皆こっちきてくれるー?」

ちゃむは見張り、俺は皆への説明と役割分担をして固まっていたバスケ部を呼ぶ。

ある程度の大きさで描いた地図はまあまあの出来である。ちゃむは基本俺の意見を通すので、というか考えても答えがでないから放棄しているだけだが、まあ大丈夫だとして。さてはて、コイツらはどうだかな…

ちゃむとアイコンで頷きあう。
扉の奥を見たちゃむの指は、以前3人で決めた手記信号の『敵ナシ』。基本無線だから久しぶりに使った気がする笑!


「さて。これから俺らが拠点にしてる場所に行くが、何か意見や質問があればその時聞く」

そういった俺に誠凛も秀徳も桐皇も海常も陽泉も洛山ですら反論はない。
ふむ、上々。この場所で逆らう事がどれだけか理解出来ているようだ。


「じゃあこの地図をみてくれ」

床で見難いだろうけど、そこは勘弁!
人数が人数なので見えない後ろは立ってもらいながら、地図を囲む様に各々見える位置に座ったり立ったりしてもらう。


「で、この地図は?」

サトリが訝しげに尋ねる。


「この地図は今んとこ俺らが把握してるこの階の地図な」

まあこの建物自体がデカいから何処も彼処も広いったら!そんな愚痴を今言ったってこいつらにはどうしようもならないのでお口はミッフィーちゃん。


「で、俺らが今いるのがココ。」

右端の見てきた中で一番大きな会議室である。◎が付けられている会議室に視線が集まるが、◎の付いた会議室から奥はまだ行ってない(黒神さんシバきは置いとく)ので×が付いている。


「今から安全地帯ってか…まあ、詰まるところのアジトってトコに行こうと思う」

俺がそう言うと、ちょっと待て、と声が掛かる。陽泉の福井さんだ。


「そこは本当に安全なのか?…さっきの、アイツらは…」

「大丈夫、入って来ないよ。それがルールだし、そんなんも無かったらおちおち寝てもらんないでしょ?」

此処での強いて挙げるなら、という頭がつくが。の、良いところはそういう所だと思う。人間的に三大欲求のうち2つは満たされることは精神的に安定する。ご飯も食べれない寝てもいられないなんて目も当てれないよね!性欲うんぬんは帰ってから発散してくれwwって感じである。


「安全地帯は探せばあるとは思うけど」

「何処にあるかだよねー。」

なー、とちゃむと声をあわせる。
実際ワンフロアに1ヶ所はあるはずなのだが、まあ見つからないこと!実際此処が安全地帯、もしくは部屋だという目印になる様なモノがない。実は見つけているのかもしれないが、正直今まで探したことが無いし必要でも無かったのでなんとも言えないけど。


「まあそれはさておき。俺らが使ってる安全地帯ってのはエレベーターで上がった8階にある。上がった先は安全だと考えていい。監視カメラで他の階の部屋の見張りだとか、食事睡眠といった生活の基盤は此処。」

周りをみると各々考えているようである。まあこんな所に放り込まれて自暴自棄になっていないだけマシかなー

人間思考を止めるとメンドイからね!

扉近くでヤツらの見張りをしているちゃむに目線で確認。『敵ナシ、リクコズ』。とべちゃんもヤツらも来てないようだ。

しかしとべちゃんの隠語がリクなのは未だに慣れない。陸上部だからリクで、ちゃむはしれっとエースwwお前なんてボールで十分なのに!そして俺はランちゃん。冥探偵め!


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