たいへんだよ


ちゃむの勇者発言に否を呈して、こと切れた黒神さんの両掌と額からナイフを抜く。

黒神さんは今までの階のバケモノ同様音もなく消えた。


「お疲れちゃーん」

そういってトランス状態から冷めやらぬ俺に返り血ついてんぞ、とちゃむは笑ってタオルを投げ掛ける。


「お、ダガーみーっけ」

黒神さんの跡からダガーが見つかる。
ライフルやショットガンでなかった事にしょんぼりするが、まあナイフやダガーなんかも接近戦ではかなり重要なので馬鹿には出来ない。

黒神さんで使ったナイフは刃についた肉片を拭き取り腰のナイフホルダーに。黒神さん跡から出てきた5本有るうちの3本のダガーを受け取り、脚に着けたナイフホルダーに直す。


「あ、ちゃむテッちゃんに説明した?」

思い出したように言えば、ちゃむはあ、という顔をして背けた。


「あれ?つか、ちゃむなんで居るの?」

そうだ、コイツにテッちゃんを預けた筈である。まだクリアしていないこの階にはバケモノがいるはずで。

それに気づくとさぁ、と血の気が引く。


「あ、ちょ!炯至?!」

走り出した俺にちゃむが待ったをかけるがそれどころでは無い。テッちゃんが殺られてたらお前も殺す!と捨て置き、黒神さんとテッちゃんがいた部屋まで戻る。


「テッちゃん!!!!」

ばん!と明かりの漏れていた部屋を開けてテッちゃんの無事を確認する。


「炯至くん・・・、」

火神に支えられて顔面を蒼白にしながらテッちゃんはいた。


「テッちゃん!怪我は?!どっか痛いトコは!?」

「だ、大丈夫、です・・・」

手袋を外して両手でテッちゃんの顔を包んだり、腕や脚に怪我や傷がないか調べる。粗方調べ終えて何処も異常がない事を知ると、思わず抱きしめて安堵する。


「よかった、」

もしテッちゃんにキズでもあろう物なら黒神さんの報復はあれだけじゃ足りなかったところだ。いや、もう死んでいるしどうしようもないのだけれど。


「いや、良くねぇよ」

はて。
ちゃむでもとべちゃんでもテッちゃんでもない声がする。ふと顔を上げると火神やアホ峰が。あれ、ナニコレどういうこと?

ちゃむに聞こうとすると、チョップをもらってしまった。不覚。

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