あの日、あの時。
私の初恋は終わったの。
友達の奈津子に泣きつき、落ち着いた頃には眼は腫れに腫れた。むしろ鏡を見て2人して思わず笑ったのを覚えてる。そして清兄に彼女ができたということを聞いた、といえば奈津子が釘バット持ってカチコミに行こうとしたので必死こいて止めたのは今やいい思い出だ。
さて、あれからの話はさして面白いものではないが間違いがないように記しておくと、清兄_今では宮地先輩だが_に、彼女ができたのでまあ彼女側からしてみれば姉でも妹でもないただ隣に住む女が自分の彼氏の家にいる、というのも感じ悪いだろうなぁ、という事で宮地家に出入りを自主規制していたらお姉ちゃんの京子さんに壁ドンされて。清兄と何があったのか洗い浚い吐いてもらおうか、ああん?と昔のヤンキーというか、レディース出てます、姉さん。
で云々といえば清志とはどーでもいいから私とむっちゃん_宮地家の裏番であるお母さん_とは遊ぶよね?で、気まづいのは清兄とその彼女さんだけだったので快く承諾。
どうして私の周りはスケバンが多いのか謎が湧いて出てきたがここは全力でスルーしよう。
「あーあ、綾乃が妹になるっつー夢はまた夢になってしまったのか」
ぷかぷかとタバコを手に京子はそうボヤいた。
無事入学式を終え奈津子と家に帰ってみれば件の京姉にカフェに誘われたから来たのに。
清兄と距離を置くようになってから言われ続けているこのセリフは耳にタコができるかのように言われ続けた。
「まあ、あの宮地清志ですからね、しょうがないと言えばしょうがないです」
なんて奈津子も平然と清兄の姉の前で紅茶を飲みながらこたえた。
「全く甲斐性なしめ」
さすが姉である。
なにもいうまい。
「でもまあ、一番驚いたのはあんな偏差値クソ高いトコに入っちゃったこの子なんですけど」
「そうねぇ、その理由が清志に一泡吹かせたいだなんて。昔の綾乃からは想像もできない台詞よね」
呆れた様にこちらを向く2人。
そう、実は清兄がどこの高校かなんて前々から知っていた。それも勿論、この京姉のお陰であるがそれだけでは面白くないので今回ばかりは頑張ったのだ。
「だって、普通に入ったって清兄には気付いてもらえないじゃない」
成績1位にでもなって新入生挨拶したら一発でしょう、とにこやかに言えば2人してそうね、あんたはそういう子だったわなんて頭を撫でられた。
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