はつこい







私と、彼のモノガタリ−












私には幼なじみがいる。
といっても2つ年上の。

私が生まれたときからずっと一緒にいて、むしろ、居るのが当たり前になっている彼の名は、宮地清志。
1人っ子の私は、お兄ちゃんとしたっていっつもくっついてまわった。


「お兄ちゃん!綾乃とずっと一緒にいてね!」

「おー。約束な」

「うん!約束!」

そういって幼い頃小さな指で指切りげんまんをして笑いあった。

−はずなのに。








8月ある日。
宮地清志15歳
白神綾乃13歳

綾乃が中学生になり、宮地は受験生となった年。それは突然訪れた。いや、それでは語弊がある。綾乃にとっては、と言ったが正しい事だ。


「あ、綾乃。俺コイツと付き合うことにしたから」

「は?」

そういって宮地の彼女を紹介されてしまった。名前は覚えていないが、綺麗めのすらっとした黒髪美人だったのは覚えている。


「そ、っか・・・よ、よかったね!お兄ちゃんに彼女できるとか想像もしてなかったからびっくりしたー!」

「おい、もうそろそろお兄ちゃんはやめろよな。綾乃も中学生になったんだから、宮地先輩とよべ!」

「えー、お兄ちゃんはお兄ちゃんなんですけどー」

「ぶーたれんな。」

それにはいはい、と綾乃は笑ってこたえた。


「あ、なっちゃんと約束あったんだ。ごめんおに・・・宮地先輩、私いくね!」

「お、おぉ、気をつけてな」


どうして、なんで、

その言葉はぐっと飲みこんで。
今できる笑顔で綾乃は宮地とわかれた。

ずっと一緒と言ったのに。所詮幼い頃の約束は幼い頃だけの夢だったのか。泣きたくなるのを堪えて足早にその場を去る。いや、もう走っていたかもしれない。それほどまでに綾乃はそこに、宮地とその彼女がいる空間から逃げ出したかったのだ。


「あら綾乃。どうしたの、そんなに息を切らせて」

「なっちゃん・・・」

いつもと変わらない親友に、ぽろぽろとこぼれ落ちる涙は待ってはくれなかった。

なっちゃん、なっちゃんと綾乃はしがみつくように奈津子に抱きつき嗚咽をもらす。


「どうしたの綾乃、なんで泣いてるの??」

「あうぅううわぁああんなっちゃんんっ!」

「・・・、後でちゃんと話してもらうからね、」

「うんっ、うん!!」



大好きだったの。
たとえ幼い頃の約束だったとしても、ずっと一緒にいると思ってたの。

言葉にしないでも、私は彼が大好きで
愛しくて、離れたくなくて、わかってくれるとばかり

それでも。
やっぱり思いは口にしなきゃ、いけなかったんだ。


「ごめんね、おにいちゃん、わたし、あなたのことがだいすきでした」

そうして。
わたしの初恋は呆気なく想いを伝えることもないまま。



終わった。



















そして−

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