※西園と剣城と少し天馬が登場するSS


「剣城って背、高いよねー」


休憩時間、水分補給をしていた西園が剣城を見上げてそう言った。
剣城は汗をタオルで拭いながら小さな同級生を見る。

「そうか?」
お前から見たら誰だって背は高く見えるだろう、という言葉を飲み込んで疑問で返す。

「だって、キャプテンより背、高いよね? いいなぁー」

「西園はそれを補えるジャンプ力があるだろ」

「そうだけど……僕が見てる世界と天馬や剣城が見てる世界ってたまに違って見えるんじゃないかなって思う時があるんだ」
足元を眺めてそう呟く西園を見て、京介はとある提案を思いついた。

「西園」

「わ、わあああああああ!」
誰もが西園の驚嘆の声に視線を向ける。

そこには剣城が自分の右肩に西園をしがみ付かせて持ち上げているのが見えた。

「どうだ、お前が見てる世界と俺の見えてる世界……違うか?」
その言葉にぐるりと辺りを西園は見回す。

「信助、剣城、何しているの?」
近くにどうしたのか気になったらしい天馬が近づいて来た。
その顔がいつもより近くにあって、空にも近くなった気がした。

「これが剣城が見ている世界なんだね」

「視点が高い時には気付かないものもある」
ぶっきらぼうな言い方ではあったが諭すようなその言葉は優しく、どこか温かい。

「うん! えへへーやっぱり剣城はいい奴だよね」

「落とすぞ」

「うあああっ」

「危ないよ!」

ぐらりと身を揺すられてずり落ちた西園の身体を天馬が支え、地面へと足を着ける。
いつもと同じ視点、同じ世界。

「ありがと、天馬」

「どういたしまして」

「剣城もありがとう! やっぱ、僕にはこっちの方がいいや」

「……そうか」

改めてこの世界を見て、自分にしか見えないものがわかった気がした。
そして試合にて自分が試合中にどう動くべきか、わかった気がした。

「よーし 次の練習も頑張るぞ!!」

己の両膝をポンと叩くと西園は上級生たちのいるグラウンドの方へと向かって行った。

***
新しいEDを見てから本編でも西園と剣城の会話が見たくてたまりません。



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