いざ、遊園地へ(乗り物編)


プールを堪能した後は、遊園地の醍醐味であるアトラクション類を制覇しようと意気込んだ。
プールで散々遊んだが、まだまだ元気な明琉達。土方はジェットコースター乗ろうぜー!とはしゃぐ明琉を見つめ、盛大なため息をつく。
遊園地に来るのが初めてだと言う明琉は余程楽しいのか、終始笑顔で神楽と共に走り回っている。


『ね、次あれ乗ろうよ!』
「…あれ、って…確かこの遊園地のアトラクションで一番高くて、しかも速いジェットコースターじゃ…」


明琉が指さしたそれを見上げ、新八は青ざめた。


『どれだけ速いんだろ…楽しみー!』
「姉御は乗るアルか?」
「そうねぇ……乗ろうかしら。九ちゃんはどうする?」
「僕も乗りたい。」
『男子はー?』
「俺は乗るぞ!お妙さんがいるところに勲ありだからな!ガハハハ!」
『ていうかもう皆で行こう!』
「え゙!?あ、あの僕はちょっと……っ!」
『大丈夫だよ新八くん!なんとかなるなる!さぁ行くぞー!』


結局皆で乗ることになった。
渋る新八と山崎の背中を押し、列へ並ぶ。


『トシ。』
「あ?」
『トシはジェットコースター苦手?』
「…いや別に。」
『一緒に座ろうね!あー楽しみ!』


心底楽しそうな明琉を横目に、目の前を走り抜けるジェットコースターを見て、内心で焦る。


「……(いやこれ無理だろ!乗れるかこんなん!)」


平気なフリをしているが、実は苦手だったりする。ついつい強がってしまったが…順番が近づくにつれて顔色は青くなる一方。
しかしここまで来て、やっぱりやめるとは言えない。新八と山崎は激しく拒否っているが、相手にされていないし、何より明琉の楽しそうな顔を見たら、嫌だとは言い出せない。


「(…ま、まぁ大丈夫だよな。こーいうのは意外と対したことなかったりするし。)」


自分を奮い立たせ、いざ出陣。
初っぱなからフル起動するジェットコースター。あまりの速さに、あちこちから悲鳴が上がる。


「(対したことあったぁあああ!!)……っ!!」
『きゃー!あっははは!』
「「ぎぃやぁあああああ!!」」
「うおー!速いアルぅぅぅぅ!!」
「きゃあああ!」
「〜〜っ!」
「………」


予想以上に速く、終わった頃には明琉、神楽、妙以外はみんな放心状態だった。


『あー楽しかったー!』
「ホントねー。」
「絶叫系はあれで終わりアルナ。次何乗る?」
『ん〜…』
「あ、あれは?」


元気すぎる三名を見つめ、土方たちは重い足取りで後を追う。
絶叫系を制覇した明琉達は、ゆるやか系をも制覇し。残るは観覧車のみ。


辺りはすっかり夕暮れで、空はオレンジと青のグラデーション。徐々に高くなっていく景色に、明琉は瞳を輝かせ眺めている。


『空綺麗だね!』
「…そうだな。」
『あたし遊園地って初めてだったから、すごく楽しかった!』
「…そうかよ。」
『トシと一緒だったから、何倍も楽しかったよ。』
「……」


チラ、と明琉を見ると。
明琉は幸せそうに、笑った。



『今度は二人で遊園地行きたいな。』
「行かねーよ。」
『えー…意地悪!』


ムッ、とむくれる明琉から視線を外し、なぜかときめく胸をごまかそうと暗くなっていく空を見つめ続けた。



「(…なんでドキドキしてんだよ。)」



この胸の高鳴りは何なのか…。
モヤモヤがまた、広がった。




****
遊園地編終わり。
夏休み中にちょっとは進展させたいなぁ…
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