トランプ
『……』
「……」
『………』
「………」
『…………』
「………おい、早く引けよ!」
『せかさないで!よく考えないと!』

合宿四日目のお昼。
休憩中なのをいい事に、皆でトランプゲームをして遊んでいな。向日の提案でババ抜きをする事になり、トランプするメンバーは美麗、跡部、真田、金太郎、白石、ダブル忍足、不二、桃城、向日、リョーマの11人。

「なぁなぁ、ただやるだけじゃつまんねーじゃん?だからさ、負けた奴には罰ゲームありにしよーぜ!」
「おっ!いいっスねーそれ!罰ゲーム何にします?」
「うーん………あ!あれは?皿洗い。」
「「皿洗い?」」
「跡部、今お手伝いさんいねーんだろ?」
「あぁ。緊急な用事で帰った。」
「厨房見て見ろよ。皿が溜まってるぜ。どのみち誰がやらないといけねーんだからさ、この際これで決めよーぜ!」
「いいんじゃない?それで。」
「うへー…マジかよ…あれ全部!?こりゃ負けらんねーなぁ、負けらんねーよ!」

そうして、熱いバトルが開始した。
人数がけっこういるため、なかなかペアにならず、白熱した戦いになった。着々と上がる者が出てきて、ホッと一安心。そうして……あと残っているのは跡部と美麗だけになった。この二人、さっきからジョーカーを引きまくり、なかなか上がれない。皿洗いがかかっているこの戦いは絶対に負けたくない!と二人の目が語っていた。

『これだぁ!』

気合いを入れて引いたカードはまたもやジョーカー。跡部はフン、と鼻で笑い、インサイトで見極めようとした。が、全く見えない。ジョーカー引くんじゃねーぞコラァ!とギスギスした無言のオーラを放つ美麗に、タラリと冷や汗を流す。その後、何10分も二人の戦いは続いた。


トランプゲーム開始から1時間。今だに決まらない。傍観者達はぐでー、と疲れた顔。

『こっちかな…いやこっち?いやいやこっちと見せかけてあっち!?』
「………」
『裏をかいてこっち…いやその裏の裏をかいてこっちか…いやいやいや裏の裏の裏をかいて………』
「さっさと引けよ!!」


痺れを切らした跡部が怒鳴る。

「いつまでそうしてんだよ!パッと引けパッと!」

「てゆーかババ抜きであんなに白熱してる人初めて見たんだけど。」
「そんなに皿洗いしたくねーのかよ…」
『「したくねーよ!!誰がするか!」』


見事にハモった。互いに睨み合い、がるるるる!と威嚇しあう。そうしてまたジョーカーの引き合いが始まった。

結局そのまま休憩時間が終わり、敗者は決まらなかった。皿洗いは跡部と美麗、二人でやる事に。


「チッ…なんでこの俺が皿洗いなんざ…!」
『それはこっちの台詞よ!アンタがさっさとババ引かないから!』
_9/14
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