体育祭【1】
少しづつ暑さも和らぎ、ときたま秋らしい風が出てくるようになった9月中旬。だが、暑さは少し和らいだだけで、まだ完全に秋にはなりきっていない。
そんな中、氷帝学園中等部では2週間後に控えた体育祭の準備期間に入った。
まずは各クラス代表者がくじを引き、赤、黒、白のチーム分けをする。
クラスごとに色を分け、一年の中の赤、二年の中の赤、三年の中の赤でチームを組む。
毎年恒例の色別対抗である。
次にそのチームで集まり、参加する種目、応援合戦の内容、作戦等を決める。
各クラスの色は以下のように決まった。
【赤(ルージュ)】
一年生
A、C、E組
二年生
B、F、G組
三年生
A、B、D組
【黒(ノワール)】
一年生
B、D、G組
二年生
C、D、I組
三年生
C、E、H組
【白(ブラン)】
一年生
F、H、I組
二年生
A、E、H組
三年生
F、G、I組
5、6限目を使い、各チームに分かれて話し合いが行われた。
美麗達赤組は、視聴覚室へ向かう。
まずはチームメンバーを把握するため、顔合わせから。
今年は美麗、跡部、滝、向日、樺地、日吉と、テニス部が揃った。それに比較的運動部が多い。優勝も夢じゃないかも、いや確実に優勝でしょ!と、赤組生徒達は生き生きとした表情で思う事は皆同じ。
赤組には帝王と女帝が揃っている。優勝しないはずがない。
かなり期待されている跡部と美麗は、熱い視線を受けても平然としていた。落ち着いている二人からは、絶対なる安心感があった。
「…さて、種目決めどうする?」
だいたいメンバーを把握したところで、いよいよ種目決めへと写る。
『全員出なきゃならないやつはいいとして……決めなきゃならないのは個人戦、団体戦か………チッ、めんどくせェ。』
「おい、本音が漏れてるぞ。」
『私の勝手に決めといて。』
「いいのかよ。」
『いいのいいの。若、終わったら起こして。私寝るから。』
「……寝るんですか?」
『おやすみ。』
机に突っ伏し、わずか五秒で眠りについた美麗。
「……じゃあ、こんな感じでいいですか?」
「勝手に決めちゃって大丈夫かな?」
「美麗が出る種目多すぎねーか?」
「いいんだよ。アイツが自分で言ったんだからな。勝手に決めていいって。おい日吉、美麗起こせ。」
「…チッ…」
「…日吉…お前最近俺に対して酷くねーか。」
「気のせいですよ。」
小声で悪態をつく日吉は、ここ最近なんだか跡部に対する態度が変わったように見える。
「美麗先輩、起きて下さい。」
ゆさゆさと、美麗の肩を揺する。
『んー……決まったー?』
「はい。」
あくびをしながら大きく伸びをする美麗は、ぼーっとしながら黒板に目をやった。
『……ちょっと待って。』
「アーン?」
『なんで私こんなに出なきゃなんないの!?』
「文句言うな。」
『いや普通言うだろ!何勝手に決めてんのよ!!』
「テキトーに決めとけっつったのはお前だろが!!」
『い、言ったけど…!だからってほぼ全部に入れる事ないじゃない!!限度ってもんがあるでしょーが!バカかお前は!』
「うるせーよ!文句言うくらいなら最初から起きとけ!」
ぎゃーすかと言い争う跡部と美麗。やはりというか、当然というか。予想していた通りになった二人の喧嘩に、もう誰も驚かない。
「なぁ日吉。滝。」
「なんですか、向日さん。」
「ん?」
「俺、勝てる気がしねェ。」
「奇遇ですね……俺もそう思います。」
「……ハハ……」
体育祭中も、こんな風に喧嘩しまくっていたら絶対勝てない。
心強い二人だけどこーいう時だけは、逆に不安になる。向日と日吉は、揃ってため息をついた。
赤組
種目選手一覧〜
【全員出場種目】
全員リレー
綱引き
応援合戦
玉入れ
【個人種目】
男子走り高跳び:向日岳人
女子走り高跳び:陸上部から一名
男子走り幅跳び:陸上部から一名
女子走り幅跳び:一年生から一名
【団体種目】
女子400mリレー
雪比奈美麗、他三名
男子800mリレー
跡部景吾、日吉若、向日岳人、滝萩之介
障害物競争
第一部:雪比奈美麗
第二部:二年生から一名
借り物競争
第一部:三年生から一名
第二部:滝萩之介
パン食い競争
平居美加
二人三脚
第一部:跡部景吾&雪比奈美麗
第二部:向日岳人&日吉若
男女混合12人リレー
跡部景吾、日吉若、向日岳人、雪比奈美麗他八名(うち約三名ほど足の遅い人がいる。)
騎馬戦
第1グループ:一年生から四人
第2グループ:日吉若、樺地宗弘、向日岳人、他一名
第3グループ:跡部景吾、滝萩之介、雪比奈美麗、他一名
教員vs生徒(四人リレー)
跡部景吾、日吉若、平居美加、雪比奈美麗
全17種目、たいていの種目に、美麗の名前はあった。
果たして赤組は優勝出来るのか…
いよいよ体育祭の幕開けだ。
to be continued...
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