合同合宿【1】
「まずは荷物を部屋に置いてから食堂に集合だ!説明等はその時にする。部屋割は各部長に知らせてある!」


跡部が全員に告げるのを合図に各自バラける。


『ねぇ、私の部屋どこ?』
「あぁ、お前は四人部屋だ。女子四人で十分な広さがあるから安心しろ。鍵はお前に任せる。全員お前より年下だから、しっかり面倒見ろよ。」
『わかってる。じゃあ、また後でね。』
「あぁ。」



手伝いに来た青学一年二人、そして不動峰から一人がパタパタと美麗の元に駆けてくる。

「あ、あの。」
『?』


美麗の元には例の三人が集い、おずおずと声をかけると、綺麗な赤い瞳がこちらへ向けられた。その圧倒的な美しさに、少したじろぐ三人。遠くから見ても綺麗なのがわかったが、間近で見ると本当に美しかった。纏う空気が他とは違う。神々しい。オーラが違う。そう…まるで跡部と同じような空気だと三人は同時に思った。


「氷帝のマネージャーさん、ですよね?」


杏が尋ねると、美麗はそうだけど。と肯定した。


「この合宿に手伝いに来た青学一年の小坂田朋香です!」
「あ、お、同じく青学一年の竜崎桜乃です!」
「不動峰中二年の橘杏です。」


よろしくお願いします!と三人は声を揃えてお辞儀した。


『あぁ、あなた達が…こちらこそよろしくね。氷帝三年の雪比奈美麗です。』


美麗は優しく笑って挨拶をした。三人はその笑顔にぼぅっと固まる。
少し話しかけにくい雰囲気だった美麗だが、自分達に向けてくれた笑顔は優しくて、柔らかい。よく見れば赤い瞳も、ただの赤じゃなくて暖かい、優しい赤だと言う事にも気付く。
朋香はキラキラした目で美麗を見た。


「あの!」
『…何?』
「お姉様って呼ばせて下さい!!」
『は?』

「と、朋ちゃん!?」


桜乃が慌てるが朋香は止まらない。
美麗の手を握り、もう一度言う。


「先輩みたいなお姉さんが欲しかったんです!だからお姉様って呼んでもいいですかっ!」
『…好きに呼んでくれて構わないけど……お姉様はちょっと……』
「やったぁ!これから四日もお姉様の傍にいられるなんて…幸せ!」
『あの、話聞いてる?』
「お姉様!早く部屋行きましょう!荷物置かなきゃ!ホラ!桜乃も杏さんも!」
「朋ちゃん…すみません美麗先輩。」
「元気ねー。先輩、大丈夫ですか?」
『…まぁ、可愛いから許す。さ、部屋行きましょ。』
「「はい!」」


全員が部屋に荷物を置き、それぞれのジャージに着替え食堂に集まった。


「よし。全員いるか?今から合宿について大まかな説明をする!よく聞いとけよ。」


この別荘の設備の細かい説明、練習メニューは各学校の部長同士が話し合って決める事。
お風呂は各部屋についているが、大浴場もきちんとある。天然の温泉で、疲労回復等によく効くとの事。
ご飯は全員でこの食堂で食べる。知らない人もいるだろうから、親睦を深めるために楽しいイベントもあるらしい。何をするかは秘密だそうだ。


「今のところはこれだけだが、変更がある時もある。連絡事項等は聞き漏らすな。それから、今回この合宿をサポートしてくれるマネージャーを紹介する!マネージャー四人、こっちへ来い!」
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