自宅訪問
『ダメ!ダメよ!見てはダメ!アンタにはまだ早いわ!大人しくお母さんと〇緒見てなさい!』
「えぇ!?やだよそんなの!」
「美麗の言う通りだぜ!見ちゃダメだ!お母さ〇と一緒が嫌なら帰れ!だいたい俺達勉強中なんだからな!邪魔すんな!」
「勉強してないじゃん!おもいっきり遊んでんじゃん!!」
『「ダメなもんはダメ!!」』

「…わかったよ部屋で見「何チャンネルだ?」え?」


必死な二人に翔はが諦めて帰ろうとしたのだが、日吉が引き止める。


「その番組、何チャンネルでやってる?」


日吉はテレビのスイッチを入れて、見る気満々だった。


キノコの兄ちゃんそーゆーの好きなの!?」
「あぁ。あと俺はキノコじゃない!!」
「「(姉弟揃って…失礼だな。)」」


宍戸と鳳の気持ちがシンクロしたことなど知る由もなく。
ピッピッ、とチャンネルをいじる日吉。《1》にしたところで、なんだか薄気味悪い音楽が流れ出した。
途端に目を輝かせる日吉と翔。はぁ、とため息をつく宍戸、跡部、忍足。無表情の樺地。爆睡している芥川。そして青ざめる向日、鳳、美麗。

恐いものが苦手な美麗は頭を抱える。ホントは今すぐ逃げ出したい。この場から立ち去りたい!恐いから嫌だと叫んでやりたい。そう考えている間にも話は進み、逃げるに逃げられなくなり仕方なく、忍足の横に座る。
もうこの際隣に人が居てくれるのなら誰でもよかった。

話は落ちに近づき、部屋にも緊張感が漂う。ドキドキバクバクと美麗の心臓が鳴り響く。

突然、画面いっぱいに広がった女の人の顔に、「「うわぁぁ!!」」と飛びのく向日と鳳。だが美麗は動かない。


「さすが美麗ちゃんやな。全くビビッとらん。」
「逆に幽霊の方がビビッて逃げ出すんじゃねーか?」
「ありえるわ。」


宍戸と忍足が話している最中も、美麗は全然動かない。微動だにしない。


「あー…マジ恐ェ…」
「こ、怖かったですね…」
「激ダサだなお前ら。」
「オイ、美麗?」


跡部が全然話に入ってこない美麗を不思議に思い、声をかけるが反応なし。
そっと美麗を覗き見る。


『…………』


美麗はこの世の終わりだ、的な顔で気絶していたのだ。


「「「……え!?」」」


一瞬、目を疑った。
あの美麗が。怖いものなんてないとばかり思っていたのに。幽霊なんて平気だと思っていたのに。と大きな衝撃を受けた。


「え…もしかして美麗、幽霊ダメなのか?」
「気絶する程!?」
「どうなんや跡部!」
「……そういや昔も同じようなことがあったな……」


跡部が呟いた時、あ、と弟が声をあげる。


「そーいやねーちゃん、幽霊系ダメだったんだ。…忘れてた。」


苦笑する翔だったが気にする様子は一切なく、明るく言い放つ。


「でも大丈夫だよ。ほっといたら元に戻るから。じゃー俺部屋戻る。若兄ちゃん!またな!」


弟が部屋を出て行ってから数分して、美麗は気を取り直した。『さーて、勉強勉強。』と、何事もなかったかのように勉強を再開する。

聞きたいのに、幽霊がダメなのかどうか聞きたいのに。なぜか聞いてはいけないと、瞬時に悟った。だが聞くまでもないだろう。美麗は、怪談系が苦手である。



おまけ〜
テスト結果は跡部が一位、美麗が二位という、いつも通りの結果。
悔しそうな美麗が余裕な跡部の顔にイラつき言いがかりをつけ、それに反抗する跡部と口論になり、最終的には殴りあいになったのは言うまでもない。


(『次こそ!次こそ一位になってみせるわ!』
「ハッ。せいぜい頑張れよ。」
『悔しいィィィィィ!!死ね忍足ィィィ!!』
「なんで!?俺関係ないやん!!」
『なんとなくよ!!』
「理不尽やァァ!!」


to be continued...


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