青春は続く
次のページを捲ると学校行事一覧へと切り替わる。一年生の時の体育祭、二年生の時の体育祭、三年生の時の体育祭、と成長過程がわかるように並んだ写真には楽しそうに笑っている生徒達。応援団長を務める跡部の勇姿に、騎馬戦で活躍する跡部、忍足、美麗、高跳びで陸上部もびっくりするくらい跳躍する向日、100メートル走で活躍する宍戸に美麗、優勝したチームの喜びに満ちた顔、女子生徒達の弾ける笑顔、クラスメイトの女子に囲まれ少し困った顔をしている美麗や、跡部との二人三脚でモメる姿、息の合った走りでぶっちぎりの一位になる瞬間、中にはバナナの皮で滑って転けた忍足、石につまづいて転けた向日、日吉に抱えられた向日など、ちょっと恥ずかしい写真まであった。


「なんでこんな写真載せたんや…!俺の黒歴史…!」
『ああ、あの時の。』
「あの時の忍足さん、すごくマヌケでしたよね!傑作でした!」
『お前はししゃもに釣られた大バカ野郎だろ。』
「………」
「あれは激ダサだったぜ長太郎。」
「………」
「僕も見てましたよ!忍足先輩と鳳先輩すっごくマヌケで友達と大爆笑してました!」



五十川がにこやかに、なんの悪意もない笑顔でそう告げると、忍足は乾いた笑みを浮かべ、鳳はわかりやすく落ち込んだ。

次のページを捲ると、遠足の風景だった。一年生の時の遠足はフランス、二年生の時の遠足はオーストラリア、三年生の時の遠足は遊園地。どの写真も、皆満面の笑み。オーストラリア編では美麗がコアラのぬいぐるみを抱き締め笑っている姿が載っていて、隣にいる跡部が呆れたようにため息をつく姿もあった。遊園地編ではジェットコースターを楽しむ美麗達に、バンジージャンプを楽しむ向日、お弁当を取り合うシーンや、お化け屋敷から出てきた美麗と向日の青ざめた顔、コーヒーカップでの対決シーンに回しすぎて青ざめる忍足達と、目を回して吐きそうになっている跡部と美麗の姿。


「『…なんでこんなシーン撮ってんだ!』」
「つーかカメラマンどこにいたんだ。」
「こんなことがあったんですね…。コーヒーカップ回しすぎで吐きそうになるなんて子供か。
「『うるさいっ!』」


日吉が鼻で笑うのを、少しバツが悪そうに怒鳴る跡部と美麗はこんなシーンを撮ったカメラマンを恨んだ。


逃げるように次のページを捲ると、水泳大会の写真が並んでいた。白熱する生徒達や、プールではしゃぐ男子生徒達、日焼けを嫌がり日影に避難している女子生徒達。中でも一番目立つ写真が美麗オンリーの写真。当たり前だがスクール水着姿でスラリとした真っ白な手足に水に濡れた蜂蜜色の長い髪が日の光に反射し、金色に煌めいていてとても綺麗な一枚。写真の中の美麗はカメラ目線で小さく笑ってピースをしている。


「スクール水着サイコー!美麗ちゃんのスク水姿はホンマ神やな!スタイルの良さがわかる水着は素晴らしい!」
「さっさと鼻血拭け変態。」
『誰かソイツの息の根止めて。』
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