体育祭【2】
続いてパン食い競争。
赤組から平居美加。A組一のバカの登場だ。


「よーし!頑張るぞー!」
『おいバカ。』
「名前で呼んでくんない!?」
『おい平居バカ。』
「……バカは外さないんだ………何?」
『絶対勝て。』
「え。」
『負けたら呪ってやるから。』
「えええええー!?ちょ、ほ、本気!?本気で言ってるの?」
『呪われたくなかったら勝て。わかった?』

「む『え?』……りなんかじゃないよねー!こんなの楽勝だしー!」


アハハハハと、涙目で言う平居は、死に物狂いでパンを取り、走って、一位になった。


次は全員参加種目、全員リレー。結果は一位黒組、二位白組、三位赤組。


『アンタのせいでビリになっちゃったじゃない!バカ!』
「人のせいにするな!!」
『間違いなく景吾のせいよ!』
「いーや!美麗が悪い!」
「お前ら二人共同罪だよ!!」



向日が額に青筋を浮かべながら叫ぶ。跡部と美麗は競技真っ最中にも関わらずどっちがアンカーを走るかで揉めた。
言い争いはいつまでも続き、折角一位だったのに二人のせいで一気にビリになってしまったのだ。すると今度はビリになったのを責め合い、二人の言い争いは止まらない。

いがみ合ったまま、次の種目へ移った。次も引き続き全員参加、種目は玉入れ。
ピー!と笛が鳴ると、皆が一斉に自分のチームの篭目指してボールを投げる。
跡部も数個ボールを掴み、篭に向かって投げようと構えた。
だが突然頭に衝撃が走った。けっこうな力で投げられたそれは、見事に跡部の後頭部に直撃。
しかもなかなか痛い。

頭を抑え、振り向くと。
涼しい顔をした美麗が立っていた。


「美麗…今投げたのはお前か?」
『あ、当たっちゃった?ごめーん。篭と間違えたわ。』


白々しい美麗の態度に、跡部は額に青筋を浮かばせた。


「嘘つくんじゃねーよ!お前明らかに狙って投げたよな!?」
『ええ投げたわよ!悪い!?』
「悪いわボケェ!俺になんの恨みがあるんだ!!」
『アンタのせいでビリになったんだから!これくらいさせなさいよ!』
「まだ根に持ってんのかテメェ!俺のせいじゃねェっつってんだろが!」
『黙れハゲ!!』
「やんのかよ!?」
『上等だコラァ。白黒つけようじゃないの。』

「『うらあぁあぁぁ!!』」



睨み合う跡部と美麗のボールのぶつけ合いが始まった。超高速で飛び交う赤いボール。


「おいぃぃぃ!!お前ら何やってんだよ!!」
「ぶつけ合いはよそでやってくださ……ぶっ!!」



流れ玉が、日吉の顔面に直撃した。あまりの痛さに、涙目になりうずくまる日吉の背中を滝が心配そうにさすった。


「おいおい…跡部と美麗の奴また喧嘩してるぜ。」
「………周りの人、知らんぷりですね。」
「皆もう慣れっこだC。」


黒組、宍戸達はやれやれと肩を竦めた。


「跡部、美麗ちゃん!今は玉入れに集中しよーや。な?落ち着いて。」


見兼ねた忍足が二人を止めようと声をかける。だが、それが間違いだった。一瞬動きが止まった二人は揃って忍足に標的を変えた。


『「死ねェェェェ忍足ィィィィ!!」』
「ぎゃあああ!!ちょ、なんで!?なんでなん!?あんまりや!……あれ、前にもこんな事あったような……デジャヴ?」



忍足に標的を変えた二人は満足したのか、清々しい顔で笑って。何事もなかったかのように普通に玉入れに参加したのだった。


to be continued...


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