この先長い人生に後悔はつきものだと思っている。一人ごちるように呟けば、その年で何を言っているんだと友人に笑い飛ばされた。

「それじゃあ聞くけど、後悔したことはないって言える?」
「ないね。ボクはいつだって賢く生きてる」

例えば彼のように「後悔はない」と、胸を張って口にすることのできる人間はどれくらい存在するのだろう。あのときこうしていれば良かった、こんな言葉をかければよかった、あんなことするんじゃなかった。思い出せばキリがない。そんな人が大半で、彼のような人種は非常に珍しいのではないかと思う。
今存在している時間こそが全てだと彼は言う。その論を否定するつもりはないし、生憎、哲学者でも何でもない私はそれをするだけの頭を持ち合わせていない。
過去に思いを馳せても過ぎた時間は取り戻せない。なんて、そんなことは重々承知しているのだ。どうにかしようと思わない。しかし、縋ることがいけないことだとも思わない。そうやって同じ場所に頑なに居座っているから、私は彼を忘れられないのだろうけれど。

「Love lives in sealed bottles of regret.」

どこぞの作家が宣った何ともクサイ台詞は、やはり友人に笑い飛ばされてしまった。



20140701
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