先生と恋をする!4



*成績を盾に取るなんて違法です


「四谷、ちょっと来い」

放課後、今日も足繁く生徒会室へ行こうと手早く荷物を纏めていた私の元に、仁王先生がやってきた。

仁王先生とはこの前の補習以来少しギクシャク・・というか、まあ機会がなかったので全く話していなかったから、少し緊張した。なにかあのときのことについてお小言を言われてしまうのだろうか。


「・・なんですか、先生」

「ちょい書類整理せんといかんから、手伝いんしゃい」

「え。いや、私普通に忙しいんで!」

「・・・テスト」

「え?」


特に迷うこともなくそのお誘いを断り、さっさと踵を返そうとした私に、仁王先生が小さく不吉な言葉を吐いた、ような気がした。
聞きたくも無いが、聞き逃すとなにかとてもいやなことになりそうな予感がした私が聞き返すと、彼はまるで謎掛けが大好きなあの猫のようににんまりと笑って、悪魔のささやきをもたらすのだった。


「数学のテスト。おまえさん、毎回ぎりっぎりな点数とっていくが、あの成績じゃぁ・・・平常点で何点か引かれるだけでもやばいんじゃなか?」

「げ」

「・・・“先生のお手伝い”は、率先してやらんとなぁ?」

「・・・・・」

「のう、四谷。俺、今から書類整理せんといかんから、手伝ってくれんかの?」

「・・・はい、わかりましたよ!是非手伝わせていただきますぅ!」

「憐ちゃんが賢い子で先生は本当に嬉しいぜよ」


にっこり、と満面の笑みで心底嬉しそうな顔をした仁王先生は、悪魔以外のなにものでもない、とここで断言しておく。

しかし、このやるせない気持ちをどうにか発散したくて仁王先生の後ろにちょこっとだけ結んだ尻尾のような髪の毛を引っ張るという暴挙に出たのだが、そんな私の反乱にも仁王先生はさらに嬉しそうに笑うだけだったので心の奥底で『仁王先生ドエム疑惑』が生まれたということは、誰にも秘密である。



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