部活仲間が女の子になったようです。よ。1




「お、おはよ・・・う?」

「あ、おはようございますっス、憐先輩っ!」


俺が恐る恐る挨拶しながら部室に入ると、俺より大分身長の小さい女の子が元気に返事してくれた。

普通にかわいい。かわいい、が。


「・・・・・・・・・・・あ、赤也?で、合ってる?」

「は?何言ってるんスか。後輩の顔忘れちゃったんスか?」

「いや、忘れてない。忘れてないよ、ハハ・・・」


目の前の、癖っ毛が可愛らしい女の子は、どうやら赤也らしい。
いつもはちょっと生意気に思える吊り目も、女の子バージョンでは勝気な感じを演出していてとてもイイ。


って。


「・・・イヤイヤイヤイヤ、待てよ俺。かわいいってなんだよ。イイってなんだよ。相手は赤也だぞ。後輩だぞ・・・!」

「うわ、いきなり失礼ぇー!確かに俺には、仁王先輩みたいな色気も丸井先輩みたいな爆乳もないッスけど〜・・・」

と、いじけたように口を尖らせて見せる赤也。

え、いや、だって。昨日までお前ら普通に男やってたよね?


「っていうかなんだよその設定!俺を禿げさせる気か!?」

「禿げ萌ゆる〜・・・ってやつかのぅ?」


突然後ろから、いつもよりも少し高い気はするが、聞き馴染みのある声がした。


「・・・仁王?」

「ん。おはようさん」

「・・・・・と、柳生?」

「はい。おはようございます、憐さん」


これまた恐る恐る後ろを振り返ってみると、そこには銀髪スレンダーな子と、優等生っぽい子。ちなみにどっちも美少女。

優等生のほうは、涼しげなフレームの眼鏡をかけていて、けれどいつもみたいに逆光眼鏡になんてはなっていなくて、なんていうか普通に美人なのだ。

もう一人の銀髪も、・・もういいこの際認めよう。こっちは仁王。で、さっき言った優等生は柳生だ。

その仁王女の子バージョンは、全体的に色っぽい。いつもと同じはずの気だるげな目とか、ふわふわでウザイと思っていた細い銀糸とか、口元の黒子とか、とにかく全てが艶やかだ。

俺と目を合わせてにこっと緩やかに笑う仁王も、礼儀正しく会釈までしながら挨拶してくれる柳生も。そのどちらもいつもと同じはずなのに不覚にも一瞬ドキリとしてしまった。


「・・・うん、おはよう」


俺には、苦笑を浮かべて挨拶を返すのが精一杯だった。




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