ただいまネジ山上空。耐久重量の関係で、私とフウロさんがスワンナに、兄さんアイシテルは一人でコアルヒーにぶら下がってる。あれぜったい着陸のときしんどいよね…っていうか。


「兄さん…手ぷるぷるしてるけど大丈夫?」

「全然ダイジョバナイ」


どうやらぶら下がり形式の空を飛ぶには慣れていないようで、兄さんはそれこそ体中真っ白にさせながら耐えていた。これだから引きこもりは…と思いながらも、途中で腕が限界になり落下事故となってもなんだか寝覚めが悪いので、フウロさんに言って一旦地上に降りてもらうことにした。


「すみません、アイシテルさんの様子に気づかなくて…」


こっちが申し訳なくなるほど落ち込んで謝ってくれるフウロさんに兄妹二人であわあわしながら、どうするのが一番か議論する。
いまフウロさんがもっているポケモンはこの二匹だけらしく、スワンナの限界は二人まで。ここにいるのは私、兄さん、フウロさんの三人。すなわち誰かは必ずぶらさがりコアルヒーコースなのである。

兄さんは腕を限りなく弛緩させながら雪の積もっていない岩場に腰を下ろしているし、フウロさんもぶら下がるのはあんまり得意じゃないとポロっと最初に言っていたので、どう考えてもコアルヒーコースイン私。議論するまでもなかった。


あ、じゃあわたしやりますーと白目で言ってコアルヒーちゃんに近づく。どうやらコアルヒーもコアルヒーで、たいして乗り方が分かっていない大の男一人ぶら下げての飛行は疲れていたようで、私をみるとちょっと喜んでいた。ように思う。

私は、こういう時のためのザイル頼み!とばかりに、リュックに入れていたザイルを腰に巻き、コアルヒーの足にもちょちょいと結ぶ。命綱替わりである。伊達に旅慣れしてないぜ。んで、間違っても足を折らないように、そして重心をなるべく近づけるために、コアルヒーの足首ではなく根元をもつ。ザイルがいい感じに滑り止めとして機能していてつかまりやすい。


「準備オッケーです」

「おま…そんな便利なもん持ってるなら俺にも…」

「素人が使うと危ないと思って」

「ま、まあまあ!これでイモトンさんは大丈夫そうですね!」

「はい。すみませんが、引き続きよろしくおねがいします」

「はい、任せてください!…お願いね!コアルヒー、スワンナ!」


そうして再び空の上。
コアルヒーってコダックと似た可愛さあるよな…と思いながら下アングルのコアルヒーを見つめていたが、ホドモエに近くなってきた頃、そういや向こうはどうなってるんだろうと重量のせいかすこし下の方を飛んでいるスワンナを見てみた。
するとどうやらすっかり打ち解けてるらしい兄さんとフウロさんが目に入った。私だけ仲間はずれで寂しいなんてことはない。いやほんとのところちょっとばかり寂しい。私だってボインちゃんと仲良く…おっと口が滑った。


ホドモエについた後、兄さんが紳士よろしくスワンナから降りるフウロちゃんに手を差し伸べていたり、フウロさんもフウロさんでちょっと顔赤くしちゃったりしてもう…わたしはなんとも居場所がなかったことを此処に記す。


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