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恋人とケンカをしたのと、その手紙が私の元に届くのとは、同じ日のことだった。
ポストからとりだしたその手紙には、細い綺麗な字で「イモトン様」と宛名が書かれていた。まごうことなく、私への手紙だ。
私はレターカッターで丁寧に封を切ってみる。封筒には紙だけはない重さがあった。
「なになに・・・『イモトン様。あなたはこの度、ポケモントレーナー協会にて、見事ルーキー賞を獲得されましたので、遠いポケモンの土地、イッシュ地方へとご招待いたします!!』・・・だってさ、兄さん」
「イッシュ?・・ブラックホワイトか。いいんじゃない?いってきなよ」
「『お二人様ご招待』って書いてあるよ。あと、家の鍵らしきものも」
「彼氏誘えば?」
「今日ケンカした。もーしばらく口利かないって決めたもん。しかも忙しいし・・・ねーねー兄さんー」
「一緒に行けって?」
「かわいい妹を一人で異国の地に放り出す気?」
「・・・はぁ、わかったよ」
「わーい」
私がいつもはしないような甘えた声で強請れば、兄はため息混じりに是の言葉を吐き出した。なんだかんだで私には甘い兄である。
「行くなら、ボックス整理して行けよ」
「分かった。あ、パーティも変えなきゃだね。兄さん何にする?」
「タブンネ」
「マジか」
「・・たぶんね」
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