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「これ、君のかい?ジェームズ」
「あぁ!ありがとうユキ!探していたんだよ!!」
「リリーが持ってたよ」
「リリーだったのか!ということは、この杖にはリリーもふれたんだね!」
「気持ちの悪いこと言っていないで、お礼になんか頂戴よ」
ジェームズがリリーに関して気持ち悪いのは今に始まったことではないので、特に気に留めることも無い。
それよりも私は自分に返ってくるであろう見返りのほうが大事で、右手を出して催促すると、ジェームズはあろうことかこの私に向かってため息をついた。
「本当に君は色気が無いね」
「色気で腹が膨らむ?」
「そりゃあそうだけど。少しはシリウスを真似してみたら?」
「あんなプレイボーイを真似しろって?リリーに怒られて終わりだよ。そのときに言ってやる、『ジェームズに言われてやりました』って」
「本当にごめんなさい」
「いいから、ほら。お、菓、子、」
「はいはい」
ジェームズがくれたのは、金平糖のような小さな砂糖の粒が沢山入った小瓶だった。
どういう魔法なのか、小瓶の中身は常にぐるぐる回っていて、色々な方向から光を受けて光っていた。
「きれいだね」
「ユキ、そういうの好きでしょ?」
「そのデキル男っぷり、リリーに見せられたらいいのにね」
「僕はいつでもデキル男だろ?」
「は?」
「え?」
「・・・も、いいや。お菓子ありがと」
不思議な小瓶をローブのポケットにしまって、私はジェームズの前から去ろうと踵を返した。
けれどそこでふと、今朝見た夢のことを思い出して首だけで彼を振り返った。
「夢予言の私から、一つ予言をあげる。将来、ポッタージュニアはこのかぼちゃの季節に生まれるよ」
「、え」
「瞳の色は綺麗なエメラルドグリーン、かな。それだけだよ」
「ちょ、ちょっと!それって!」
赤毛の人と、どうぞお幸せに。
Happy Helloween!!!
⇒アトガキ