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たくさんある私のバカ行動のなかで、最もバカだったといえるものは、毎日一緒に帰っている幸村に先に帰ってもらうため、理由として事の顛末を、省略したものの、あらかた話してしまったことだ。

だから彼はR陣を引きつれてきた。

だからこんな状況になった。


・・・なんてこった。バカだ、私。



「とりあえず、これからこの学校の“ムコウガワ”に行く。そんでもって、今ちょっと暴走しちゃってる付喪神を鎮める」

「“ムコウガワ”?」

「あの世的な?」

私の言葉に、ジャッカルと丸井が首をかしげた。


「付喪神・・・森羅万象の考え方だな。そうか、桐理は特殊な能力を持っていたね。付喪神の声でも分かるの?」

「幸村、正解。んで、“ムコウガワ”っていうのは、霊的なものがそこかしこに蔓延っている場所。ちょっと怖いところ」


きゅ、きゅ、と、小さな足音を立てながら話す。

ゴム製の靴底と床がすれるその音も8人分ともなると、結構な足音になるわけだが、まあ誰もいないのでいいとする。


古時計のおじーさんの話では、今日は教師は忘年会。部活も終わってるから校舎には誰もいないはずだ。っていうかすでに校舎の鍵がしまってた。(それなのにどうやって校舎内に入ったかって、その鍵も大層古いものなので付喪神がいたのだ。その神様に事情を説明して、あけてもらった。便利な能力である。)


「で、肝心の暴走気味付喪神っていうのが、七不思議のうちの3柱なんだよねぇ」

「七不思議って・・・“踊り場の姿見”とかかの?」

「あとは・・・“右目を探す狸の剥製”でしょうか?」

「ほかに、“プールの河童”、“トイレの足跡”、“校長室の古時計”・・・それから、“血を吸う糸鋸”か。後一つはなんなんだ?」

「それは最後のお楽しみ。七つ知ったら死んじゃうって言うしね」


もちろん私は七つ、知っているわけだけど。

ただ、そんなことでは死なないと信じたい。
だって、死因が七不思議とか嫌過ぎるし。



さて。


「じゃあ、行きますか? “ムコウガワ”へ」



悪戯の過ぎる神様達を窘めに、ね。




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