あたしの女神様
いつも学校で見ているはずなのに、私服だとなおのことかっこよく見える。
そう思いながら見つめる横顔は、いつもよりも楽しそうだ。
「精市、楽しいそうだね?」
「そうだね、デートは久しぶりだし。それに、なんだか今日は頑張ってくれてるみたいだから」
「え?」
「向日葵にはそういう服が一番似合うと思うよ。すごくかわいい」
「!」
にこ、と優しく微笑まれて、あたしは頬に熱が集まるのを感じた。
待ち合わせ場所では何も言ってくれなかったから、まあそんなもんかなってちょっと落ち込んでいたのに。
気付いてくれた。頑張ったの、気付いてくれた。かわいいって、言ってくれた。
「・・・ありがと」
「ふふっ・・・顔赤いよ?」
「またそういう意地悪を・・!」
「照れてるとこも、かわいいよ」
「っ、だーかーらっ!」
恥ずかしさに耐え切れなくなって、顔を上げて彼に講義しようと拳を握ると、その手をつかまれた。そしてそのままお互いの指を絡ませて、恋人繋ぎってやつにはや代わり。
「・・・・」
「あれ、急に静かになったね」
「・・・やっぱさ、手を繋ぐなら一言言って欲しいな」
「聞こえなーい」
「もー・・!」
「うん、やっぱり向日葵はかわいいよ」
「・・・そういう精市はやっぱかっこいい」
「ありがとう」
あぁちょっと間違えたかな。笑った精市を見ながら、思った。
綺麗に笑って、髪には陽の光が当たって輝いていて。
まるで女神様みたいだけどね、と茶化すように付け足すと、精市はなにそれ、といってまた笑ってくれた。