毛先が入って目が痛かったから昨日買ったお菓子の包装紙についてた紐で前髪結んでたらクレイオスに美容室行くか私に切られるか選べ、って言われて勿論クレイオスを選んだ。
俺は椅子を外に出して、クレイオスはどこからともなく家には置いてなかったはずのハサミを持ってきてスタンバイ。
肌寒い気もしたけど、服に毛がつかないようにって体に巻いたつるつるした不思議な布のおかげでそれもなくなった。

いつもよりも遠くに感じる空とそこを流れる雲、時々ひゅうひゅうと吹く風が葉っぱが揺れる音を立てて、いつもだったら何の変哲もないただそれだけのことなのにそこにハサミのサクサクって音が入ると不思議な感じがした。
なんか、時間がゆっくり流れてる感じ。

前髪が終わって、目ェ開けていいよ、って言われて開けたら膝の上に短い銀色がいっぱい散らばってた。
後ろは気にならなかったけどちょっとだけ切ってもらって合わせ鏡で見せてもらったけど、マジ何でなんでもできるの？って疑問に思うくらい左右対象に切り揃えられてた。
顎持たれてクレイオスと目が合うようにされてジッと見られたから見詰め返してみたら男前度が増したって柔らかく笑いかけてきてくれた。
時々見れるクレイオスの綺麗な笑顔がすっげー好き。
普段はイケメンなくせにそういう時だけ性別相応の表情になるクレイオスが胸がきゅうってなって苦しく泣きたくなるくらい好きだ。
そんなに長くクレイオスと一緒にいるわけじゃないから何とも言えないけど、やっぱりクレイオスは見た目に反して優しいやつだって思う。

上着のファーの部分引っ張ったら抜ける！って怒られたけど……



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