水底の夜光虫 | ナノ

▽ 怒らせたらダメ、絶対


朝っぱらに朝飯用の野生のニワトリの卵を取りに森に行ってたのを町のやつに見られてたらしい。
昼飯のあとのコーヒー(俺はリンゴジュース!)ブレイク中にあいつらが来た。
ドアを蹴り壊して、ただでさえ狭い部屋ん中にズカズカ上がり込んできた。
流石に俺は人ん家に上がり込んでまで盗みはしなかったっつーのに礼儀のなっていないやつら。
人口密度上がって若干熱くなったのに、それでも涼しげにコーヒーの薫りを楽しむクレイオスはかっこいい。
なんか大人って感じがする!

盗品だけで生活していた俺をいい加減に始末しようと思った矢先に現れなくなったから集った討伐隊雄志達の熱意が冷めなかったんだと。
で、俺を見つけて追ってみたら塒に辿り着いて、討ち入りしたら俺だけじゃなくて昨日服屋に大金入れてった客が優雅にコーヒー飲んでたから驚いたらしい。

保護者ができたからこれから盗まれることはないし、いい鴨がいるんだから盗られた額分私からぼったくればいいでしょ。なんて堂々と言い張ったクレイオスにそういう問題じゃない、関係ないやつは口を出すなと言って部屋の一番奥のベッドに座ってた俺に近寄ろうとしてきた覆面ブーメランパンツ一丁の足を何気なく、さり気なく引っ掛けたクレイオスはかっこよかった。惚れた。
でもキレた覆面パンツがクレイオスに斧を振り下ろした時には心臓がキュッてなって死ぬかと思ったからやめてほしい。

縦に一直線に振り下ろされるはずだった斧が何故かクレイオスを縁取るかのように逸れて手に持っていたカップと机に突き刺さった。
クレイオスの手に残るカップの取っ手。
確実に固まる空気。
カタログ、ページ三十七っていう声がイヤに部屋ん中に響いて、それから時間が巻き戻るかのように町のやつらが家から外に吸い出されてって、続くようにクレイオスが出てって、淡々としたクレイオスの蔑む声とアーッ!!っていう野太い野郎の悲鳴が響いて木霊してた。

気に入ってたカップみたいだったから破片集めて布にくるんどいた。
どうにかして直んねーかな?

んでもってカンダタってなんだ?



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