水底の夜光虫 | ナノ

▽ 大罪達に拉致される保護者


絞め殺す気満々で抱き締めながらなんで急にいなくなったかを問うてくるバンに、私の仕事事情を話していたら異世界の話を餌にメリー少年と豚丼が釣れたよ。やったねたえちゃん(真顔)
釣った魚には餌をやれと誰かに言われたことあるような気がするから、私にとっては肴にもならない違う世界の話をしてやれば見た目に合った通りに目を輝かせていた。

私の跳ねた横髪に興味を示すまでは。
自分だって触角みたいなアホ毛がある癖に長いのに飛び抜けて跳ねてる髪が動いてる仕組みが気になったらしく、同調したバンに抑えつけられメリー少年にマウントポジション取られて下手に動けなくなってたところで窓の外から伸びてきた女らしい綺麗な手に一緒くたに掴まれた。

そしてそのまま石畳にビターン……と。
流石に叩きつけられたら死ぬだろうと二人の下敷きになったけど、背中痛い。
死ぬ前に治ってるから特になんもないけどひりひりしてる気がする。

襲うなら僕を襲ってよ!とか(自主規制)とか聞こえてきて色々ヤバい。
振り下ろされる拳にとっさにメリー少年を引き寄せ、気付いたバンが私の背中にひっつく。
サンドイッチのハムになった気分を味わいながら体質と地面が殴られてできた砂煙を利用して逃げれば、抱えていたメリー少年に鎖骨辺りを叩かれた。

「なあ、今のってお前の技なのか?」
「あん?違うよ。ただの体質たったけどバンが名前つけてたはず」
「自動防御(オートガード)だったっけか♪クレイオスに対して有害なモンは全部クレイオスから逸れてくっつー絶対強制解除が効かない反則クセー体質だったよな?」
「御名答。魔力じゃないから解除されないんだよ。に、しても二十年以上会ってなかったから脳細胞と共に記憶も枯れ枝みたくなってると思ってたけど憶えてるモンだなぁ」

ついでに私に触れてる間は有機物でも、無機物でも体質同調ができるんだよね。
なんて言えば触っていればいいのかと胸の辺りをガッと触られたが残念。
ベルトさらしで押し潰してるからないも同然なんだよ。
ない!と呟いたのが聞こえたのか触られたのが見えたのか、ディアンヌ(仮)ちゃんが触るなら僕のを触ってよ!と半狂乱に叫びながら筋のいい拳を振り下ろしてくるし、背中にくっついてるバンは過呼吸になるんじゃないかって心配になるほど笑ってるし、なにこのカオス……
保護者世代にはついて行けないよ……










あの後こちとら寡婦で二度と恋愛感情抱くことなんてないとディーに話盛りつつ話したらいつの間にか外に出てきていたエリー含めたみんなから同情されて、バンから何時結婚してたんだよ!ってなんか怒られた。
いや、君を拾う数億年前には寡婦になってましたよ。
怒られた理由がわからん。解せぬ……

「メリオダス様っ!」
「だんちょぉ〜……」
「ああ……俺がこれほど面白い人材を放っておくワケないだろ」
「いえ、あの……私達そのような理由ではなく……」
「ん?何の話?……なにその企んだような笑顔」

少年らしからぬ黒い笑顔でエリーちゃんから視線を外して私を見てくるメリー少年。
そっと自動防御の効果を強めた私は悪くないと思う。
ディーちゃんは何かを察したようで憐れみの目を向けてきているし、エリーちゃんは全くもってわかっていないようだし、この後の展開が読めて表情に出る分かりやすいやつはいないのか。

「エリザベス、ちょっとクレイオスに抱きついてろ。……バン」
「エリーちゃんなんでそんなに従順に言われた通りに抱きついてきちゃってんの?ばかなの?死ぬの?つか何でバン呼ん」
「身体狩り〜♪」

最後まで言わせろよェ……
壊しそうで怖いから動かないでいたら、バンの声が聞こえたと共に膝の力がカクーンって抜けた。
この世界での主力は魔力だからと魔力以外の力を仕舞っといたのが災いしたみたい。
簡単に言えば衣替えして季節外れのものは出しにくいクローゼットの奥深くに仕舞っちゃってたのに、泥棒と追い剥ぎに遭遇して着てた服と季節物の服を奪われたような感じ。
取り出すのに少し時間が掛かりそう。

膝から力が抜けてエリーちゃんごと地面と友達になる前にバンに支えられ(なんか生き生きしてる)、ハンドバッグ並みに軽々と小脇に抱えられた。

「よし!有無は言わせない。大罪人らしくクレイオスを拉致るぞ」
「おいおい!なにマジで罪犯そうとしてんだ?!」
「あー、豚丼ヘルプ。助けないと豚丼じゃなくて合い挽きにしてやんよ」
「それが豚に頼む態度かよ!!」

軽く存在忘れてた豚丼に助けてもらおうと思ったら怒って泣いてどっか行っちゃった。
いや、上見て気付いたけどバンが悪い顔して追っ払ったみたい。
何してくれてんだ馬鹿息子が。







基本自動防御が発動しない限りはやられたい放題。



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