アルネフィ

無印大陸統一後日談ネフィリム編のあと



宴のあとの閑散とした室内。
アルケインの溜め息が響いた。
今、ここにいるのはアルケインと、酔いつぶれたネフィリムだけで、他の者達は、ネフィリムをアルケインに任せて、各々部屋に戻ってしまった。
「まったくもう。皆さん薄情ですよね。ほら、陛下。立てますか」
「あたりまえだろう」
アルケインの問いに、何を言うかと思い切り立ち上がったネフィリムは、けれどすぐにバランスを崩し、アルケインはそれを慌てて抱き留めた。
「こんな、酔いつぶれるまで飲まないでくださいよ」
「おまえがすすめたんだろ」
「そうですけど、そうじゃなくて」
アルケインはまた溜め息をついて、ほら寝室へ行きましょう、とネフィリムを抱き上げる。
「アルケイン」
「なんですか」
特に抵抗もなく、素直に抱き上げられたネフィリムに多少なりとも驚きながら、アルケインは平静通りに答える。
「キスしろ」
「また唐突ですね」
「そしたらじぶんであるく」
ネフィリムの言葉に、何を言ってるんですかとアルケインは苦笑を浮かべて、ネフィリムの寝室へと歩き出す。
ネフィリムは不機嫌そうにアルケインを睨み上げたが、アルケインはまったく気にしているふうがない。
「キスしたらそのまま寝てしまうでしょう?」
「……」
微笑むアルケインに、返す言葉がなくてネフィリムは口を噤む。
たしかに、すぐにでも眠ってしまいたかった。
ただ、その前にアルケインからの口付けが欲しくて、言い訳がましく強請ったのだ。
それがアルケインにはお見通しだったことが気に入らなかったネフィリムは、唇を尖らせてアルケインを睨み上げた。
アルケインはくすくす笑うだけで何も言わない。
ネフィリムの寝室に着くと、ベッドにそっとネフィリムを横たえて、アルケインはその額にひとつ、口付けを落とす。
「アルケイン」
そこじゃない、とネフィリムは無言で訴える。
すぐに理解したアルケインはまた、くすりと笑みを零した。
「今日は妙に素直じゃないですか」
「アルコールのせいだ」
「あらら、それは貴重ですね」
ふてくされるネフィリムに、アルケインはおどけて答えると、覆い被さるように半身を倒し、お望みのままに、と唇に自らのそれを重ねた。



勝利の美酒


(あ、キスだけじゃすまないかも)
(バカが。おれはねる)


110906
101101地下牢からサルベージ