ライニル 無印大陸統一後『黄昏のヤムル』エピソードの「早く来てくれよ」がかわいすぎてやらかした。 ※世界観が残念です 「ライブラ、ゲームしよう」 言い出したのはレオニールだった。 今もあちこちで戦火の残る大陸であったが、前線に出ることが叶わず時間を持て余しているレオニールは、ライブラの手の空くのを見計らっては声をかける。 「いいよ、チェスでもしようか」 それをわかっているライブラは、別段急ぎの用が無い限りレオニールの誘いに乗るようにしている。 今日もライブラはにこりと笑みを返しながらレオニールに答えた。 しかし、今日のレオニールの様子はいつもとは少し違った。 「いや、ぷよぷよやりたいな」 「え…?あ、あー!でもボードどこかにあったかな」 少々世界に似付かわしくない言葉を発したレオニールに、ライブラは少し困惑しながらフォローを入れる。 「じゃなくて、これで」 しかしライブラのフォロー虚しく、レオニールはゲーム機を取り出し、パロディでもしたいのかとライブラは頭を抱えてため息をつく。 「どっから出したとか世界観無視かとか色々言いたいことあるけどとりあえず。なんでこのご時世にDSじゃなくてスーファミなんだ」 「しっかり突っ込んでるよな、冷静に」 絞り出したライブラの問いに、レオニールはあっけらかんと答えてそそくさとゲームの用意を始める。 その姿に、ライブラはもう突っ込むのはやめて素直に相手をしてやろうと決めたのだった。 そうして始まったぷよぷよバトル。 ふたりでぷよぷよ100連戦。 画面中央下に増えていく、勝ち数を意味する金と銀の星。 金の星48個、銀の星52個で僅かにライブラが勝利を収め、レオニールは悔しげに眉を寄せた。 年の割に子どもっぽい可愛らしい表情をするものだとライブラは心の中で思う。 負けず嫌いのレオニールのその表情は、ライブラの知る限りの幼いレオニールとあまり変わらない。 「ううっ…、こっ、今度はマリカやろう!」 「だからなんでWiiじゃなくてスーファミなのかな」 コントローラーを置いたと思えば、身を乗り出してソフトを探し出す。 それを見て、やはり黙っていられなくなったライブラが冷静に突っ込みを入れると、レオニールは見つけ出したお目当てのソフト片手に振り返って言った。 「だって、単純明快でおもしろいだろ」 「まあ分からなくもないけど」 「だろう?」 レオニールの言葉に、まあ一理あるとライブラが頷けば、レオニールは満足そうに笑んでソフトを入れ替えた。 開始数戦、2人は勝敗の数を数えていたのだが、小一時間ほど白熱したあとふと我に帰るとカウントし忘れていることに気付いたライブラが、あっ、と声をあげた。 「そういえば途中から数えてない…」 「あ…。でもなんか、俺が負けたのが多い気がするよ」 レオニールがそう言ってまた悔しげにむくれるものだから、ライブラはただレオがそう言うならそうかもしれないなと認めてそれ以上は勝敗の記憶を辿らなかった。 暫し、レオニールが今度こそ勝てるものは何かと思案するのをライブラは眺める。 ただ負けるのが悔しいという理由で真剣な表情で思考を巡らす様子は、戦場で見せる真剣な表情とは違ってなんだか可愛らしいとライブラは思った。 子どもっぽいと思うだけとはまた違う意味で、ライブラはレオニールを可愛いと思ったのだ。 普段、レオニールに抱いている想いと少し違う気がするとライブラが小さく首を傾げたことに、レオニールは気付かない。 「あっ、じゃあガンロコ(ス/クエ/ニのガンアクションゲーム)やろう!」 「なんで発売前のゲーム持ってるんだ(2011年内発売予定)」 「Xbox(360)ならちゃんとあるぞ」 思いついたとぱっと顔を上げたレオニールの言葉に、ライブラも思考を中断して応じると、的外れな答えが返ってきてずっこける。 「いや、だからそうじゃなくて」 衝撃でずれた眼鏡を直しながらライブラが言うと、レオニールは、んー、と少し考えこんだと思ったらまたすぐ顔を上げた。 「じゃあライブラが勝ったらなんでも言うこと聞くから!」 少々予想外の言葉にライブラは目を丸くして数度瞬きをしてから、漸く理解できたと頷く。 「別にそこまで頼み込まれなくてもやるけど…言ったからには聞いてもらうよ?」 「ライブラが勝ったらな」 自信があるのか、にっと笑って見せるレオニールに、ライブラは心の中でにんまりと笑みを浮かべた。 「ああ。レオが勝ったら僕もなんでも言うこと聞くよ」 「絶対だからな!」 戦場から長く離れたせいか、年甲斐もなく無邪気に笑って見せるレオニールを見て、ライブラは先程の想いの正体に気付いてしまった。 大の大人の男を、可愛らしいなどと思ってしまう想いの正体に。 気付いてしまえば決断は早い。 その条件を出してきた相手の心理は知れないが、これを利用しない手はないだろうと、ゲーム機を入れ替えるレオニールの背中を見つめながら考える。 自分に絶対の信頼を寄せている親友を困らせる結果になろうとも、こればかりは大人しくなどしてはいられなかった。 「よしっ、今度こそ負けないからな」 そう意気込むレオニールに、ライブラは小さく笑みを浮かべて、バトル開始直後から挑発コマンドを発動させる。 負けず嫌いのレオニールは、煽られていると判りながらも冷静ではいられず飛び込んでいった。 が、挑発コマンドを何度も展開しているはずのライブラには何故か隙が無く、気付いてみれば連戦ライブラの勝ち。 一方的な敗北に、遂にレオニールがコントローラーを投げ出した。 「はぁ〜、ライブラ強すぎる」 「きみが無鉄砲過ぎるんだろう?」 後ろへごろんと倒れ込むレオニールを横目に、画面に表示されたリザルトを見ながらライブラは問う。 「ところで、なんでタックルのほうが得点高いんだろうな?」 「俺が知るか!」 完全に機嫌損ねてしまったレオニールは、一回ばしんと平手で床を叩くと、それきり大人しくなった。 それを見たライブラは、静かにコントローラーを奥と、レオニールに向き直る。 「まあ、ともあれそれで勝ったわけだし…」 ライブラの言葉に、天井を眺めていたレオニールの視線がちらりと動く。 そのレオニールの視界には、すぐに影が落ちた。 ライブラが覆い被さったのだ。 「レオに、何をしてもらおうかな」 そのまま姿勢を低くして、レオニールの耳元でライブラがそう囁けば、レオニールはびくりと肩を跳ねさせて不安げについ先程まで一緒にゲームをしていた親友を見上げた。 ライブラがレオニールと話すときの口調が行方不明。 ラノベでタメ語じゃなかった…。 ていうか書いてから気付いたんですが普通に現パロでよかったですね… |