さらにえいぷりるふりる
 0406*

エイプリルフールアルレオ話のあと



うわあああやばい恥ずかしい!
うそつき!ライブラのうそつき!
あ!あの人も俺に嘘ついたのか!
うわいつかやり返してしてやる!
俺は、飛び込んだ階段下のデッドスペースでそんなことを考えながらうずくまっていた。
嘘だと思って嫌いと言えばそれは好きって言うのと同じことになると言い出すところで気付いてしまったのだ。
アルケインの驚いた顔といったらもう多分絶対見られるようなものでもないし、エイプリルフールっていうのはこういうものなのかなっていうのもなんとなくわかったけどでも、とにかく恥ずかしい。
更に今になって気付いたのだが、嘘だよとバラさなければさっきの俺みたいに勘違いして相当凹むのではないだろうか。
ならばさっきのは嘘でしたと言わなければいけないのだろうけど、それはそれで恥ずかしすぎる。
無理だ、面と向かって好きだなんて言えない、しかも世界で一番、だなんて言えるわけがない!
ライブラのばかライブラのばかライブラのばかライブラフール、いや俺が馬鹿にされたのか?うわ悔しい。
と、相変わらずうずくまったままでぶつぶつと恨み言のように呟いていたら、ふと、階段を駆け下りる音が聞こえて慌てて口を噤んで息を殺した。
階段と床の隙間、一番狭くなる角に、そろりと身を寄せる。
誰だろうか、アルケインならどんな顔して会ったらいいかわからないし、他の人ならこんなところで何してるんだなんて問われてしまえば答えられる自信はない。
階段を降りきった辺りで一度、足音は止まった。
少ししてから歩き出したその足音は聞き慣れた、アルケインのものだった。
回廊に彼のブーツの音が響く。
暗い隙間が更に、人影で暗くなった。
「!」
やばい見つかったとどきりとした俺よりも、俺を見つけたアルケインのほうが、驚いたふうだった。
「こ、こんなところでなにしてるんですか!」
「えっ、とぉ…か、かくれんぼ?」
「じゃあ見つけたんで僕の部屋に来てください」
「どっ、どうしてそうな…ぅあっ」
階段下に収まったまま誤魔化し通そうとしてみるけれど当たり前のように撃沈。
その流れのまま近付いてきたアルケインに腕を掴まれ、連れ出されてしまった。
どうしようまずい目が合わせられない。
俯いたままでもごもごと口先だけで抵抗してみても意味を成さず、むしろ両手で頬を挟まれて顔を上げさせられてしまった。
強制的に視線を合わせられる。
「あ、う、えと、その」
「本日はもう日付も変わって4月の朔日ですね」
「は、はい…」
「最初は気付かなくて心臓止まるかと思いましたよ」
「いや、元々止まって…」
「ものの例えです」
「あ、ハイ、スミマセン…」
問答の末、俺はさっきまでとは違う意味で目が合わせられなくて、視線をさまわよわせる。
そんなことは気にしていないのか、アルケインは一呼吸置いてから静かに切り出した。
「そういうわけですから、僕も君に言わなくてはならないことがあります」
「…?」
なんだろうかと無理矢理どうにか逸らしていた視線を、ちらりとアルケインに戻すと、口元が緩んだ(ように見えた)。
「僕も、君のことが世界で一番――」
その先は耳元でひどく甘く優しく囁かれて、俺は嬉しさとか恥ずかしさとかなんか色んな気持ちがないまぜになって、しばらく言葉をなくして立ち尽くした。





多分これで知らん間にシリーズ化したエイプリルフールは終了です。
パロディ部屋のレオは大体こんな感じで普通の18歳…よりも少し幼めのテンションで純粋馬鹿です

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