↓つづき
 0606*

アルケインとヌーゴが買い出しから戻ると、出迎えはいつもよりも静かだった。
常ならば飛びついてくるはずの少女は現れず、現れないときは必ずといっていいほど喧嘩をしている少年の姿も見えない。
「レオがいないだけなら帰ったのかもとも思ったが、クリスティーもいないとなると」
「どこか、少し離れたところで喧嘩してるのかもしれませんねぇ」
2人は、顔を見合わせてしょうがないなあと溜息をつく。
「アルケイン、捜してこい」
「僕ひとりでですかあ?」
「その間に拙者は支度しておく」
「なるほど。じゃあ行ってきますね」
ヌーゴに促されて頷いたアルケインは、とりあえず城の周りからと外壁に沿って歩き出す。
そんなアルケインを見送ったヌーゴは、「よっこらせ」と掛け声をかけ、荷物を持ち直して城の中へと入っていった。
「あー、重い」



アルケインが裏手まで回ってきたときだった。
大陸最北端の港、広がる海、砂浜。
その砂浜のほうから微かにだが少女の高笑いのような声が聞こえて、アルケインはそちらを目指す。
「なんだか、嫌な予感しかしませんねぇ…」
それでも、喧嘩をしてるならしてるで仲裁して連れ帰らなければならないし、と渋々といったふうに歩を進めると、砂浜に似つかわしくないゴスロリ少女が座り込んでいるのが見えた。
「…いた」
しかし、一緒にいるはずの少年が見当たらないと当たりを見回しながら近付いていくと、少女の目の前にぽっかり広がる穴が見えた。
もしかしてあの穴、落とし穴とかじゃ、ないよな、と眉を潜める。
「クリスティー」
少し、咎めるような声音で名を呼ぶと、彼女は顔を上げて、嬉しげに綻ばせる。
「おかえりなさい!アルケイン!」
「ただいま」
「えっ、ちょ、え!?」
クリスティーに答えると、次いで、穴の中から焦ったような戸惑ったような声が聞こえて、穴を覗き込む。
「あああアルケイン!」
「はあ…、やっぱりレオくん引っかかってたんですね」





なんか進まなくなってしまったので離脱

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