学パロ(英雄!)





イグニスとレオニール
(アキレス←レオニール)


マンガやドラマなんかで屋上はいいサボリ場として登場するが、たしかに、先生たちの巡回の目も避けるのは簡単だし、保健室やなんかよりずっと自由だ。
「こんなとこで何やってんだボウヤ」
屋上で座り込んで、フェンスに背中を預けて誰もいない校庭を見下ろしていると、不意に、声を掛けられてそちらを見る。
逆光でよく見えないが、どうやらドアの上に先客が居たらしかった。
そんなことはどうでもいい、互いにサボりなわけだし、干渉しなければ居ないも同然。
ボウヤってなんだよ、とは思ったが、気にする必要はないだろうと、またすぐ視線を校庭へ落とした。
そのついでに、地面にだらりと投げ出した腕の先、握りしめていた腕時計をちらりと見て、そろそろ次の授業が始まる時間だと確認する。
「いいのかい」
上から声が降ってきた。
「せーとかいふくかいちょーサマが授業行かなくて」
面倒だなと思いながら、「いいんだよ」と一言返して。
次の時間の体育の授業のためにチラホラと校庭に出てきた生徒たちのあと、現れた体育教師を目で追った。
側に居るだけで、愛しさで苦しくなる相手。
これくらい遠くで眺めるのがちょうどよかった。
「ふーん」
いつの間に降りてきたのか、俺の隣にそいつは立っていた。
かしゃんと音を立ててフェンスを掴むと、覗き込むように校庭を見て……まるで、俺の視線を追って、何かを理解したように見えて。
俺は、眉を顰めてそいつを見上げた。
そいつはこっちを見ることもなく、「おまえ、あのセンコー好きだろう?」なんて、言ってくるものだから。
「どっ、どうしてそうなる!」
慌てて答えた声は少し裏がえったが、そのときちょうど鳴り響いたチャイムでよく聞こえなかったのだろう。
そいつは不思議そうにこちらを見下ろしていた。



会長はネフィリム


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