アルレオ(@英雄2)





2初期
いちゃいちゃしてるだけ



「ん…、やだ……」
うっかりソファで微睡んでいると、突然、瞼の向こうが薄暗くなった。
いけない、こんなところで寝てしまうなんて。と思うより早く、俺に覆い被さって耳元に唇を寄せる男の肩を押す。
「あら、起きてしまいましたか」
すると案外あっさり離れた男は、そう言ってくすりと笑った。
「なんの用」
「起きないようでしたら此処で戴いてしまおうかと」
「誰が来るかもわからないのに」
重たい瞼を指で擦りながら、男の言葉にため息。
挙げ句、こんなところで寝ている君が悪い、なんて言い出すから始末に負えない。
ところで。
「顔が近い」
彼の纏うワインの香りだけで仄かに酔えてしまいそうな。
俺の言わんとしていることが伝わったのか、男はにんまりと口元を歪めて笑う。
「僕に、酔ってくださいよ」
「クサいセリフ」
「もっと甘いのがお好みでしたか?」
男の言葉に肩を竦めると、ふふっと笑って、彼は俺を抱き上げる。
「あ、こら、降ろせ」
「ベッドに行きましょう、ね」
そう言って微笑まれてしまえば反論はできなくて。
俺はついっと視線を逸らして口を噤んだ。


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