ロクレキ(@ゼクト)





いっつも気になってた。
最初に会ったときから。

川縁で二人きり。
突然のカミングアウトに僕は言葉を失った。
突然何を言い出すんだこの馬鹿は。
意味がわからないと睨むように見やると、困ったように笑って返された。
「オレもわかんない。こんなこと言うつもり、全然なかったんだ」
でもなんか、突然言いたくなった。
そう言って僕に合わせていた視線をゆるりと外した彼は、のんびりと空を仰いだ。
木々の隙間から差す光で、彼がきらきらして見える。
先ほど動揺のあまり水をかけてしまったから尚更、そのしずくがきらきらと。
「で、でも。初めて会ったときは、敵対心剥き出しだった」
光に愛されているような、ひどくあたたかできれいなそれを見ていられなくて、目を逸らして言葉を返す。
僕はいつまでも、その光の中には入り込めないのだ。
いつまでも、変われないのだ。
過去は変わらない、まっすぐに、だれよりもやさしくてつよいひとに育てられた彼らのようにはなれないのだ。
僕は。
「それ、そのカオ」


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